「身体に対しての探究心も旺盛。ウエイトコントロールに傾倒、レスラーのような体型になるまで鍛えたのは有名。ただ、やり過ぎた部分もあった。巨人時代、鍼治療で神経麻痺の症状が出て、球団側が謝罪する大問題になった。当時の沢村は症状が不安で、様々な人に相談した結果、大ごとになってしまった。打算はない純粋さが、裏目に出てしまうことがある」(大学時代から知るスポーツライター)

「用具へのこだわりも凄い。契約メーカーのスパイクがどうしても足にフィットしなかった。迷惑がかからないよう、他社製品のロゴをマジックで塗って履いていた。その後は話し合って、スパイクだけは他社製品を履いていいようになった。野球に関することには神経質なまでに、こだわる選手です」(元巨人担当記者)

「トレーニングが趣味」と語るほど、練習にはストイックに取り組むタイプ。また剛腕投手のイメージとは異なり、デリケートな面もある。野球に対して真摯に向き合い、細部までこだわりを突き詰めて来た。上手く行かない時の苛立ちが表に出てしまうのも、その裏返しかもしれない。

「鍼治療問題や飲酒トラブルもあったため、素行を心配する声もある。しかし米国の方が個々へのケアやサポートがしっかりしている。例えば、日本人選手のストレス軽減のため、喫煙に関してケアする条項を契約に入れる球団もあった。過去を踏まえ、過ちの再発を防いでくれる。安心して野球に専念できる環境が準備されるはず」(マネージメント会社関係者)

 個々を尊重するのは、米国では当然のこと。愛煙家だった日本人選手のロッカーが、喫煙可能な場所の近くに用意されたりしたこともある。飲酒なども同様で、トラブルを抱えた選手には心理カウンセラーを準備するケースも。グラウンド上で最高のパフォーマンスを出せる環境は、周囲(=球団、代理人)が整え、選手はプレーに専念するのみだ。

「(代理人に)任せている。自分の野球人生なので、自分の悔いのないように選択したい」(沢村)

 沢村の代理人は平野と同じジョン・ボッグス氏で、かつてイチローも担当しており、日本人選手への対応に長けているのは心強い。

 コロナ禍もあり、各球団の動きは例年以上に遅くなっている。米国でのプレーを一時的に諦め、楽天でのプレーを選んだ田中将大のような例もある。しかし過酷な状況下でも、沢村はあえて夢の舞台に立つことを望む。どこの球団で投げるのか。待ち望んだ日は、まもなくやって来るかもしれない。