ボクサーの井岡一翔 (c)朝日新聞社
ボクサーの井岡一翔 (c)朝日新聞社

 大晦日、WBO世界スーパーフライ級王者 ・井岡一翔は3階級王者・田中恒成を降し2度目の防衛に成功。2度のダウンを奪い8回TKOする完勝だったが、試合中に露出したタトゥーが直後から議論を呼んだ。

「入れ墨など観客に不快の念を与える風体の者」は「試合に出場することができない」(日本ボクシングコミッション ルール第95条第2号)とルールに明文化されているボクシングと異なり、格闘技界はタトゥーに関する規定がなく、入れている選手も少なくない。

 同じく大晦日に行われたRIZINでは萩原京平と平本蓮の一戦が試合前の舌戦もあり大きな注目を集めたが、全身にタトゥーをまとう両者の地上波放送はなかった。また、昨年2月のRIZINでは上半身裸で試合に臨んだ金太郎だが、地上波放送の行われた9月の瀧澤謙太戦ではラッシュガードをまとっての試合となった。

 タトゥーは入れることで滑りやすくなる、あるいは滑りにくくなるといった類のものではなく、競技上問題をもたらすものではない。ルールにも規定がないなら何ら出場に支障はないはずだが、放送においてはやはり社会通念上敬遠される。

 K-1 JAPAN GROUPの試合では日本人選手はタトゥーを隠して試合に臨むし、2015年大晦日にTBSで行われた『KYOKUGEN』での魔裟斗vs山本“KID”徳郁戦では、KIDがラッシュガードを着用して出場した。

 だがボクシングこそ以前から規定があったが、こうした“感覚”は時代とともに変化するものであり、『HERO’S ミドル級世界最強王者決定トーナメント決勝戦』(2005年12月31日)の映像を見ると、KIDも須藤元気もタトゥーを露出したまま試合を行い、テレビで中継もされている。タトゥーへの対応、目につかないようにして試合に臨む配慮はコンプライアンスの強化に伴い進んできた。

 格闘技界のタトゥーへの対応について、今後はどうなるのか……。

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日本のMMA界はどう対応するのか…