2年連続出場の翌07年も、第1戦で「考え過ぎて頭も大きくなっちゃった」と極端なトンガリ頭で登場。「ちょっとすべりか?」と反省した第2戦では、上半身裸で緑色のトランクスを吐いたムエタイボクサーに扮し、カブレラ(西武)にキックを浴びせた。そして、試合でもタイムリーを含む2安打を記録。6回にはセンター後方への大飛球をランニングキャッチし、2年連続の優秀選手賞に輝いた。

 10年オフ、FA宣言して横浜に移籍した森本は、「これも契約に盛り込まれている」と、「キン肉マン」の人気キャラ・ラーメンマンに扮して横浜中華街で入団発表を行い、集まった3500人のファンを喜ばせた。

 移籍後はけがが相次ぎ、出場機会こそ減ったものの、“芸人魂”は健在だった。

 DeNA時代の12年6月9日の古巣・日本ハム戦、1回表終了直後に雨で試合が中断すると、森本は竹刀と担架を持ってグラウンドに現れ、日本ハムベンチに向かって「小谷野(栄一)はどうした!」と挑発した。

 呼びかけに応じてベンチを飛び出した小谷野は、パイプ椅子で森本を殴りつけると、取っ組み合いから大外刈りをかけるなど、息もピッタリの“乱闘コント”を披露。最後は叩きのめされた森本が担架で運ばれて退場。直後、グルグル巻きの包帯姿で再びベンチに姿を見せるというオチまでついていた。

 2人は前年の交流戦でもコントを演じており、森本は「栄ちゃんは(演技力が)成長してる。シナリオどおりに動いてくれてね」と絶賛。小谷野も「お客さんも楽しんでくれて良かった」と雨中の熱演に満足そうだった。

 そして、現役最後の試合となった西武時代の15年9月27日の楽天戦では、ナイン全員の協力で、フィナーレにふさわしい感動ドラマが実現する。

 6日前に現役引退を発表した森本は、3対1とリードした8回表、森友哉に代わってライトの守備についた。

 その裏の西武の最後の攻撃は1番・秋山翔吾から始まるため、7番・森本まで回るのは不可能に思われた。

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ヒチョリさんに回せ…