デビュー戦で衝撃的なプレーを見せた森本貴幸 (c)朝日新聞社
デビュー戦で衝撃的なプレーを見せた森本貴幸 (c)朝日新聞社

 現在の日本サッカー界の“期待の星”と言えば、2001年6月4日生の19歳、現日本代表のMF久保建英(ヘタフェ)である。彼のキャリアについてはすでに広く知られているが、改めてJリーグでの足跡に着目すると、J3の舞台で最年少出場(15歳10カ月1日)と最年少得点(15歳10カ月11日)の記録を樹立し、2017年11月26日には16歳5カ月でJ1デビュー。その後、横浜F・マリノスへの期限付移籍を経てFC東京に復帰した2019年シーズンの開幕(2月22日)から、契約満了となる18歳の誕生日までの3カ月余りの間、創造性あふれるプレーで次々とゴールシーンを演出。その左足で、ファンに驚きと希望、大いなる夢を抱かせた。

 だが、過去を振り返ると、久保以外にも10代で “衝撃デビュー”を果たした選手はまだまだいる。デビュー戦でのインパクトで言えば、森本貴幸だろう。1988年5月7日生まれ。中学卒業を間近に控えた2004年3月13日、アルディレス監督の抜擢でジュビロ磐田とのシーズン開幕戦にベンチ入りすると、後半6分に15歳10ヶ月6日でJ1史上最年少デビュー。

 ゆったり気味の長袖ユニフォームに丸刈り頭。その風貌以上に衝撃だったのは、そのプレーぶり。中学生とは思えないパワフルなプレーで日本代表クラスを揃えたジュビロ磐田守備陣を翻弄し続けると、後半28分には右サイドの深い位置からドリブルを仕掛け、鋭いフェイントから一気に加速し、対峙したDF山西尊裕を置き去りにしてシュートまで持ち込んだ。それから約2カ月後、5月5日のジェフユナイテッド市原戦では途中出場から決勝点となるゴールを決め、15歳11カ月28日というJ1最年少得点記録を樹立。多くのファンが“怪物”の出現に驚嘆し、“和製ロナウド”の2つ名に強く頷いた。

 この森本に次ぐ、J1最年少出場記録を持つのが、16歳1カ月14日でデビューした宮吉拓実だ。1992年8月7日生まれ。京都サンガの下部組織出身で、U-13時代から世代別の日本代表に選ばれた秀英は、まだ15歳だった2008年3月にトップチームに登録された。そして2008年9月21日のガンバ大阪戦の後半27分からJデビュー。するとその2分後、ファーストタッチで絶妙のスルーパスを繰り出し、後半37分には味方のシュートのこぼれ球に素早く反応し、あと少しでデビュー即ゴールとなりそうなシュートを放った。武器は俊敏性とスピード。“京都の至宝”として、J1昇格とJ2降格を繰り返してきたチームの大きな希望になった。

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他にデビュー戦で“別格”なのを示したのは?