■日本ハム:B

・主な新戦力
ロビー・アーリン(新外国人・投手)
ロニー・ロドリゲス(新外国人・内野手)
伊藤大海(ドラフト1位・投手)
五十幡亮汰(ドラフト2位・外野手)
古川裕大(ドラフト3位・捕手)
今川優馬(ドラフト6位・外野手)

 ドラフトで今年の戦力となる可能性が高い選手を最も多く獲得できたのが日本ハムだ。1位の伊藤はストレート、変化球、コントロール全てが高レベルで早川と並ぶ新人王の有力候補。長いイニングを投げ切るスタミナも申し分ないが、チーム事情を考えるといきなりクローザーに抜擢ということも十分考えられるだろう。2位の五十幡は単純な脚力であればプロでもナンバーワンと言える存在。西川遥輝が残留となり、いきなりの定位置獲得は難しいが、代走、守備要員として一軍定着が期待できる。古川、今川の2人もレギュラー争いに加わる可能性は十分にある実力者だ。

 新外国人は2人を獲得。アーリンはメジャー通算13勝のサウスポー。打者を圧倒するような球威はないものの制球力が高くまとまりがあるタイプで、先発の一角として期待される。ロドリゲスは内野のユーティリティプレーヤー。打率の低さと三振の多さは気になるものの、一昨年はメジャーで放った61安打中、約半数の29本が長打で14本塁打をマークした長打力は魅力だ。

■オリックス:C

・主な新戦力
ステフェン・ロメロ(楽天から移籍・外野手)
能見篤史(阪神を自由契約になり移籍・投手・コーチ兼任)
田城飛翔(ソフトバンクを自由契約になり移籍・外野手・育成契約)
中川颯(ドラフト4位・投手)
阿部翔太(ドラフト6位・投手)

 長打力不足の打線にとって大きいのが2年ぶりに復帰となったロメロだ。故障が多く、年間を通じてフルに活躍したことはないものの、過去4年間で93本塁打、255打点という実績は心強い。ジョーンズが外野を守れる状態で来日すれば、モヤ、ロメロと長打が期待できる選手を3人並べることも可能で、チームの得点力アップは期待できそうだ。

 ただ、ロメロの復帰以外は全体的に上積みの少ない補強という印象だ。能見は昨年も34試合に登板しているものの、年々成績は下降しており、今年で42歳ということを考えると大きな期待はかけづらい。ドラフトも高校生が中心の指名となっている。

 そんな中で面白そうなのが4位の中川と6位の阿部だ。中川はなかなかいないタイプの本物のアンダースローで、先発、リリーフどちらも経験していることも大きなプラスだ。左打者への投球には課題が残るが、投手陣にアクセントをつける存在となるだろう。阿部は今年で29歳となるオールドルーキー。オーソドックスなフォームで打者を圧倒するようなボールがないのは気がかりだが、社会人での実績は申し分ない。年齢的にも1年目から勝負となるだけに、首脳陣の期待も大きいはずだ。

(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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