プリンセス天功さん(撮影:中西正男)
プリンセス天功さん(撮影:中西正男)

 新型コロナによる緊急事態宣言が出され、またしても世の中が揺れています。エンターテインメントの世界ももちろん例外ではありませんが、実は、大きな影響が出ているのがイリュージョンで知られるプリンセス天功さんでした。コロナ禍で「7割のイリュージョンはできなくなった」という現状とは(聞き手:中西正男)。

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 昨年3月から、チケットを販売してお客さんに来ていただく形のライブはやってないんです。テレビなどのお仕事はさせてもらっているんですけど、ライブで実際にイリュージョンをやるというのはコロナ禍において、実はハードルが高くて。

 というのも、イリュージョンというのはいわゆる“密”を避けられないんです。

 なので、コロナ対策という観点からすると、これまでやってきたものが全部で100あるとすると、そのうち70はやるのが難しい。7割はダメだと感じています。

 まず、スタッフが客席に降りていって、お客さんをステージに呼び込むという流れができません。お客さんにステージに上がっていただき、一緒にイリュージョンに参加してもらう。そういう、客席と融合するというか、お客さんと近い距離でやるものが実は多いんですけど、そこが全般的にできなくなってしまいました。

 イリュージョンを成立させるために、スタッフ同士が密になる局面も多々ありまして。あまり言うとアレですけど、客席からは見えなくても、実はスタッフ同士がすごく近接する時もありますし。

 空中に浮かんだりするイリュージョンも、最初は男性スタッフに手を支えてもらっていて、途中でパンと手を放して浮きましたという演出をするんですけど、最初の支えてもらう流れが密なのでできない。

 私が脱出したりするイリュージョンでも、最初に私の動きを拘束する鎖などの器具をつけないといけないんですけど、それも一人ではできないのでスタッフに巻いてもらわないといけない。実は、かなりの部分、密が避けられないんです。

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中西正男

中西正男

芸能記者。1974年、大阪府生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当として、故桂米朝さんのインタビューなどお笑いを中心に取材にあたる。取材を通じて若手からベテランまで広く芸人との付き合いがある。2012年に同社を退社し、井上公造氏の事務所「KOZOクリエイターズ」に所属。「上沼・高田のクギズケ!」「す・またん!」(読売テレビ)、「キャッチ!」(中京テレビ)、「旬感LIVE とれたてっ!」(関西テレビ)、「松井愛のすこ~し愛して♡」(MBSラジオ)、「ウラのウラまで浦川です」(ABCラジオ)などに出演中。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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感染リスクと同じくらい大事な「お客さんの気持ち」