「監督は僕をプロの世界に導いてくれた人。感謝の気持ちでいっぱいです。結果で恩返ししたかったので悔しいです」

 大山悠輔は、16年ドラフト1位で白鴎大から入団。当時、1位は創価大・田中正義(ソフトバンク)、桜美林大・佐々木千隼(ロッテ)の即戦力投手と噂されていたため、指名時には会場にブーイングが起こったほど。それでも将来性に惚れ込み、指名したのは有名。昨シーズンは素質が大きく開花、28本塁打85打点とタイトル争いにも加わった。

「『若いんだからミスとか恐れずにやれ』といつも言っていただいていた。ずっと使っていただいて感謝しています」

 糸原健斗は同じく16年ドラフト5位で社会人・JX-ENEOSから入団。ドラフト前には監督自ら試合会場まで足を運び指名するほど、高い野球センスに釘付けになっていた。昨年は試合中の骨折などでシーズン大半を棒に振ったが、そこまで312試合連続出場を続けていた。

 また左のエース候補として期待される高橋遥人は17年ドラフト2位で入団。新人合同自主トレ時から「スゴイわ。アレ、打てないと思うよ」とコメント。同年の開幕直前、テレビ番組では「スピードも良いですし、ベース上でのキレが素晴らしい。僕はああいう投手、プロ野球入ってから見たことないですけど」と大絶賛。視聴者へのサービスもあるのだろうが、長年数多くの投手を見て来た、金本の目には甲子園のマウンド上に立つ姿が想像できていたはずだ。

 そして忘れてならないのが、今や攻守でNPBを代表する捕手になった梅野隆太郎だ。14年の入団以来、定位置を確保できずにいた梅野が正捕手となるきっかけが17年。ライバル捕手の故障も重なったが、同年に112試合出場を果たしチャンスを掴んだ。また陽川尚将にとっては1軍に定着し始めた頃の監督。昨年はキャリアハイの8本塁打を放ち更なる飛躍を期待される。

 監督当時は批判を浴びたこともあった育成方法だったが、能力を見込んだ選手たちに結果が出始めているのも否定できない。

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“金本監督”を再び見れる日は?