――ピッチでつばを吐いていた、という指摘はどうでしょうか。これは映像でもはっきりと確認できますし、コロナ禍においては不衛生だという指摘もあります。

黒田:実際に、うがいのために口に含んだ水やつばを吐いてしまったことは事実ですし、見苦しい映像がテレビを通じて映ってしまったことはお詫びしなければなりません。ただ実際、医学的には「ウイルスが付着したつば」や、うがいのために口に含んだ水は衛生的には飲んではいけないと医者からも指導されています。

 ですので、サッカーでは芝生の上ならば口にふくんだ水やつばを吐くことは認められています。全世界のチームの選手、監督やコーチも同じ認識だと思いますし、実際に同じような光景はよくみかけます。ただ、私が偶然テレビに映ってしまったことで、悪い印象を与えたことは事実だと思いますのでそれは謝らなくてはなりません。医学的な根拠もあり、コロナ禍だからこそ、外に吐くことが健康的・衛生的である、という点もまた理解していただければ幸いです。

――最後に、伝えておきたいことはありますか。

黒田:今回のことは山梨学院高校の長谷川大監督とも共有しておりますが、長谷川監督も「ウチはそのようなことをされた認識は全くないし、もちろん選手もそう思っています」とおっしゃってくれています。

 私はサッカー部の監督であると同時に、教育者です。教育をベースにして、そこにサッカーを乗せているという考え方で日々指導しています。教育者である私が、故意に相手を妨害したり、アンフェアな行為をしていると捉えられることは、生徒たち、保護者の皆さま、学校法人、私の家族まで多方面に迷惑がかかってしまいます。

 今回は偶然が重なってしまった事実を報告するとともに、教育者としてそのような行為は絶対にしていないことを誓います。それをご理解いただきたくて、今回のインタビューにも応じました。両チームとも1年間必死の努力をして、素晴らしい決勝戦を戦ってくれました。両チーム選手たちの「価値ある一戦」が、世間の記憶から薄れるようなニュースが出ることは、頑張ってきた選手たちの気持ちを思うと残念でなりません。

 山梨学院高校の優勝、そして勝敗を超えた両チーム選手たちの輝かしい功績に改めて拍手を送りたいと思います。

(構成=AERA dot.編集部・作田裕史)