鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)
鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)

写真は本文とは関係ありません(※イメージ写真/iStock)作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします
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作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします

 無名の大学に通う息子を恥ずかしく思ってしまうと告白する46歳女性。母親失格だがこの気持ちをどうしたらいいかと悩む相談者に、鴻上尚史が「冗談ではないですよ」と伝えた、ある意外な提案とは。

【相談92】息子の学歴を恥ずかしいと思ってしまいます(46歳 女性 ジャスミン)

 22歳の息子をもつ母です。悩みは、息子の学歴を、恥ずかしく思っていることです。私は息子に小学生の頃から塾に通わせ、息子は中学受験をしました。

 中学受験は子どもと親の両方の努力が必要で、私も息子も本当に頑張ったと思います。私も息子もこれを乗り越えて、第一志望ではないですが、それなりの学校に合格することができました。

 けれど、息子は中学、高校と進級するごとに私の言うことを聞かなくなり、勉強もおろそかになりました。結局1年浪人して、無名の大学に通っています。

 私は教育のどこを間違えたのか。大学の付属をもっと受けさせればよかったと、今でも後悔しています。「人は学歴じゃない」というのはきれいごとで、それがすべてではありませんが、大切な評価軸なのが現実です(鴻上さんに怒られそうですが、現実だと思います)。

 私は息子が大学受験に失敗してから、近所の人と会うのもいやになりました。息子の大学がどこか聞いてくるご近所さんがいるからです。周囲には息子の小学校からの同級生もいて、近所の方から「○○ちゃんは大阪大学ですって」などと聞くと、1日じゅう落ち込んだ気持ちになります。息子には言っていませんが、息子の大学を恥ずかしく言いたくないのです。

 母親失格でしょうが、どうしようもないこの気持ちを、どうしたらいいでしょうか。

【鴻上さんの答え】
 ジャスミンさん。息子さんの大学が恥ずかしいですか。近所の人と会いたくないですか。息子さんが無名の大学に入って近所の人に言えないのなら、ジャスミンさんが頑張って、有名な大学に入るのはどうですか?

 冗談ではないですよ。世界では、社会人になってもう一度大学に入るのはよくあることです。日本でも少しずつ社会人の学生が増えてきました。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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