企業が助成金を申請しなかった場合、個人ではどうすることもできなかったのですが、この問題の広がりに応じて、昨年特別措置が取られました。「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」です。

 これは新型コロナウイルスおよび、そのまん延防止の措置の影響により休業させられた中小企業の労働者のうち、休業中に休業手当を受けることができなかった人に対して、「労働者自身の申請」により支給される支援金です。

 対象となるのは昨年4月1日から今年2月28日までの間に事業主が休業させ、休業手当を受けていない中小企業の労働者で、支給内容は以下の通りになります。

●休業前の1日当たり平均賃金 × 80% ×(休業した日数 - 就労した、または労働者の事情で休んだ日数)
1日当たり支給額は1万1000円が上限

 申請時には、申請書や給与額を証明できる書類などのほかに、事業主の指示による休業であることが確認できるものが必要です。事業主の協力を得られない場合は、必要書類の事業主記入欄が空欄でも受理されます。この場合、法律に基づき労働局から事業主に報告が求められます。

 厚生労働省によると累計支給決定件数は、1月13日の時点で約76万件にも達しています。申請は郵送または厚生労働省のサイトで受け付けています。

 なお家族が新型コロナウイルスに感染した、また自分や家族が濃厚接触者で感染の疑いがある場合、会社に自宅待機を命じられれば休業手当を受けられることがあります。本人が感染した場合、医療関係者など明確に感染者との接触が証明できる仕事で、業務上の感染が認められれば労災(労働者災害補償保険)による休業補償が受けられます。
 
 労災が受けられない場合でも、健康保険による「傷病手当金」を申請できます。これは自分が加入している健康保険組合などへの申請が必要です。

■失業時の生活の基本、失業給付もコロナが理由の場合は期間を延長

 コロナ禍による業務縮小で解雇となったり会社が倒産したりした場合は、一般的に「失業保険」といわれる失業給付(基本手当)を受け取ることができます。この失業給付もいくつかの特例措置が設けられました。まず給付日数の延長です。

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