パ・リーグVの近鉄のエース・阿波野秀幸も、最多勝と最多奪三振のタイトル料がプラスされた結果、入団からわずか3年で7000万円に上がり、「入団当時(580万円)に比べたら、想像がつかない額ですよ」とニコニコ顔。

 一方、優勝を逃したチームは依然として査定が厳しく、4年連続盗塁王のロッテ・西村徳文は4000万円に届かず、怒りの保留。セ・リーグ最多セーブの広島・津田恒実も4080万円止まりで「去年我慢した分、上げてもらおうと思ったけど……」と不満を漏らしている。

 そして、大きなターニングポイントになったのが、バブル最終年の91年。西武・清原和博が入団5年目で史上最年少の1億円プレーヤーとなり、中日・落合も年俸調停の末、初の2億円台突破を実現した。

 こうした流れを受けて、バブル崩壊後も、選手の年俸はFA制導入などを経て急騰し、オリックス・イチロー、横浜・佐々木主浩らの5億円プレーヤーも誕生。今年は巨人・菅野智之の6億5000万円がトップだ。

 だが、バブル期にテレビ放映権料や球場の広告費など球団の収入が大幅アップしたことが、後に選手の年俸に反映された事実を考えると、最初にその流れをつくったのは、やはりバブル期ということになるだろう。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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