初優勝を狙う天理のラグビー部は、大学の前身、天理外国語学校が開校した大正14年(1925年)に創部。2018年に創部100年を迎えた早稲田に遅れること7年という長い歴史を誇る。全国大学選手権も第2回大会から出場しているが、57回目の大会で早稲田が54回目の出場の一方、天理は29回目。優勝も早稲田が最多16度(他校との両校優勝を含む)に対して、天理は今大会で三度目の決勝進出だ。

 第6回大会(1969年度)から第18回大会まで同志社大学と並ぶ関西の雄として連続出場しながら、その後低迷し、一時は関西大学Cリーグまで降格した。第42回大会(2005年度)で第21回大会(1984年度)以来の出場を果たし、ここ3大会はいずれも4強以上と大きく力を伸ばしてきた。

 天理が初めて決勝に進んだのは、2015年ワールドカップ日本代表の主軸だった立川理道(現クボタスピアーズ)がキャプテンを務めた2011年度の第48回大会。帝京大学と対戦し、後半31分に同点に追いついたものの、終了直前に決勝PGを決められて12-15で惜敗した。帝京は史上2校目の3連覇を達成。相手の13番は2019年ワールドカップ日本代表の中村亮土(現サントリーサンゴリアス)だった。

 2度目の決勝進出は2年前。この時は準決勝で10連覇を目指していた帝京を攻守に圧倒して29-7で快勝した。しかし、初優勝をかけた一戦では、明治相手にトライを先取し、終盤にはフィフィタのトライで5点差まで追い上げたが、17-22で敗れている。

 昨年8月、部内に新型コロナウイルスのクラスターが発生し、練習などの活動が大きく制限された上、心ない外部の根拠なき中傷にも苦しめられた。天理はそこから変則フォーマットで行われた関西大学リーグを制し、全国大学選手権を勝ち上がってきた。

 天理は準決勝で2年前の悔しい思いを晴らした。決勝では昨年準決勝で敗れた相手と日本一を争う。ここまで全国大学選手権で優勝の経験があるのは9校。このうち8校は、早稲田や明治、帝京などの関東勢だ。天理が勝てば、同志社に次ぐ2校目の関西勢の優勝となる。

 前回大会に続いて東京オリンピック・パラリンピックの主会場となる国立競技場で行われる決勝。1年前は満員の5万7345人が詰めかけた同じ舞台に、今年は新型コロナウイルスの感染再拡大が暗い影を落としている。先行抽選販売で約1万7千枚のチケットが売れていたが、昨年末の政府のイベント開催方針発出を受けて一般販売は中止に。7日には4都県に2度目の緊急事態宣言が発令された。会場の雰囲気は大きく異なるだろう中で、例年に勝るとも劣らない好試合が期待される。