早稲田は開始直後に反則を犯して帝京にPGで先取点を許し、前半終了直前にはペナルティートライを奪われるなど、試合を通じてスクラムでは苦しんだ。一方、ラインアウトでは正確な投げ入れと確実なキャッチングから堅く組み合ったモールを押し込んで、前半6分、24分と2トライ。後半7分のバックスの仕掛けからWTB古賀由教が挙げたトライの起点にもなった。オープン攻撃では速いテンポでボールを動かし、タックルを受けたところからさらにボールを繋いで攻撃を継続。帝京防御の隙間を的確に突いて走力のあるFB河瀬諒介が何度も前進した。相手の攻撃に対しては、内側の選手も素早く前に出てタックルに加わり、帝京のリズムを作らせなかった。

 天理と早稲田は昨年度の大会では準決勝で対戦している。この試合では、開始直後こそフィフィタが突破力を発揮し、スクラムも押し込んだ天理が優位に立ったものの、早稲田はスクラムを修正して得点を許さず。守り切った早稲田が逆に主導権を奪い、前半10分にバックスの展開からトライしてからは一方的な展開に。前半3トライ、後半5トライの計8トライを挙げた早稲田が52-14と圧勝した。

 決勝で勝利の行方を大きく左右するだろう要素は、やはりセットプレー。スクラムは天理が明治を上回ったのに対して早稲田は帝京に苦しんだ。天理はここで試合の主導権を握りたいところだろう。一方、早稲田はスクラムでは劣勢も正確なラインアウトを武器に帝京を下している。その試合巧者ぶりを11日も発揮できるか。

 両校ともにテンポの速い攻めが持ち味で、フィフィタ、河瀬というキープレーヤーの、攻めては使い方、守っては止め方が注目だ。天理の浅いラインは、守る側に判断や反応の時間的余裕を与えない。その中で早稲田がどれだけ守り続けられるか。一方、ボールを次々と繋ぐ早稲田は相手防御の隙を見逃さずに突いてくる。天理は防御網を密にし続けられるかが試される。

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天理大が勝てば関西勢では2校目の優勝