天理大のシオサイア・フィフィタ (c)朝日新聞社
天理大のシオサイア・フィフィタ (c)朝日新聞社

 ラグビーの第57回全国大学選手権は11日に決勝が行われ、天理大学(関西大学Aリーグ1位)と早稲田大学(関東大学対抗戦グループ2位)が東京・国立競技場で対戦する。両校の決勝での対戦は初めて。天理が勝てば初優勝、早稲田なら2大会連続17度目の大学王者となる。

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 一昨年は準優勝、昨年は4強と優勝に手が届かなかった関西の古豪が、関東対抗戦を制した明治大学に準決勝で快勝した勢いで、連覇を狙う前回王者も倒せるか――。

 準決勝第2試合の天理は鮮烈だった。開始直後は明治が2度天理インゴールに迫る。トライは奪えなかったが、明治の優位を感じさせた。しかし、その印象は試合が進むに連れてひっくり返った。前半終盤までは5ー5の同点だったが、天理は29分、36分の連続トライで差を広げて折り返し。後半も3分、10分と続けてトライを奪い、完全に試合の主導権を握った。試合終了直前、重戦車のプライドをかけて明治が選択した意地のスクラムも跳ね返し、41-15の大差で決勝進出を決めた。

 天理はスクラムで優位に立ち、バックスはSH藤原忍のテンポの良い配球からSO松永拓朗を軸にした浅いラインでバリエーション豊富に攻め、明治のディフェンスをすっかり受けに回らせた。前半36分のトライは集中力の高さが際立った。スクラムで圧力をかけてPKを得ると、明治の選手たちが「スクラムか、タッチキックを蹴ってラインアウトか、PGか」と一息ついたところを見逃さず、藤原の素早いリスタートにロックのアシペリ・モアラが反応して飛び込んだ。CTBシオサイア・フィフィタは持ち前の突破力に広い視野とボールを動かす能力が加わった。後半33分、大きく抜け出した後に力任せの突破を仕掛けず、WTB土橋源之助に長いパスを通してダメ押しトライにつなげたプレーは、その成長を象徴していた。

 準決勝第1試合に登場した早稲田は、昨年11月の対抗戦での対戦では45-29の大差で退けている帝京大学と対戦。プレーの精度で上回り、前半6分のトライで逆転してからは常にリードを保った。最後は1トライ1ゴールで逆転される6点差に迫られたが、しっかりと守り抜いて、33-27で逃げ切った。

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決勝戦の見どころは?