この番組は、WOWOWでは隔週で無料放送され、インターネット(WOWOWオンデマンド、YouTube)でも同時配信される。インターネット番組の方は、放送がない週も毎週配信が行われる。番組の放送や配信の形態そのものが、過去に例のない試みである。

「もちろん権利の問題でネット上に動画を残せないものも出てくるかもしれませんけど、なるべくウェブ上にはそのままの状態でアーカイブを置きたい。あと、コミュニティの中で人気のコンテンツがあったら、それをまとめてどこかでオンライン上映会のようなことをするというのも考えています。今のテレビ局は、過去のアーカイブをどうやってマネタイズすればいいかということに悩んでいるので、それの1つのヒントになればいいなと思っています。

 テレビは今の現状だと、YouTubeとNetflixの間に挟まれていて、その中でどう生き残っていくかっていうことになっていますよね。いくつかのやり方があると思うんですが、そのうちの1つを見せられればいいですね」

『電波少年』が復活するというニュースはウェブメディアなどでも大きく取り上げられ、多くの人から反響があった。土屋氏はそのことに手応えを感じた。

「これだけ反響があるのは、時代の雰囲気として閉塞感みたいなものがあるのかなと。今の時代はちょっと息苦しくなっているので、『電波少年』にそれを打ち破ってほしいっていうのがあるのかもしれないですね。その期待にどこまで応えられるかはわかりませんけど、コミュニティの中で濃密なやり取りをしながら番組を作っていこうと思います」

 初期の『電波少年』は、取材先に一切連絡を取らずに駆けつける「アポなしロケ」という斬新な手法で話題を呼んだ。土屋氏は自身が仕事をする上でも、上司の許可を取らずに勝手に行動する「アポなし」を自らの流儀としている。

「とにかく僕は上に相談しないんですよ。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)をやっている限り面白いものは作れないって思ってますからね。2000年の大晦日の年越し番組『いけ年こい年』で、カウントダウンの時間を2分間間違えたときも事前には誰にも言ってないです。面白いと思ったらそれが全てです。でもやったからって別に大したことが起きるわけではない」

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上司から怒られたら「僕はもう降ります」と