何が起こるかわからない「アポなしロケ」、若手芸人がからだを張って挑む「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」「懸賞生活」などの過激な企画で一時代を築いた伝説の番組『電波少年』が、令和の時代に復活することが発表された。
1月16日からWOWOWで『電波少年W~あなたのテレビの記憶を集めた~い!~』が放送される。総合演出を務めるのは、『電波少年』シリーズの「Tプロデューサー」として知られる日本テレビの土屋敏男氏だ。
なぜ『電波少年』が復活することになったのか? どういう番組になるのか? 土屋氏に話を聞いてみた。
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この番組を立ち上げるきっかけは、土屋氏がWOWOWの社内講演会に招かれたことだった。その場で「WOWOWで『電波少年』をやってもらえないか」と相談を受けた。
「そのときは乗り気じゃなかったんです。僕は基本的にリメイクってやるもんじゃないと思ってるんですね。やっぱりテレビってその時のものだから、リメイクをやって上手くいった試しがない。それをやるくらいだったら若い人に何かやらせて失敗させた方がまだマシですよ、と」
しかし、WOWOW側が「コミュニティを軸にした番組作りをしたい」という話をしたところ、土屋氏はそれに興味を持った。
「それを聞いたときに面白そうだなと思ったんですよね。動画コンテンツをコミュニティの中で作りたいっていうのがパッと浮かんだんです。『この番組のこのシーンをもう一度見たい』というような意見を集めて、それを過去に放送された番組の中から引っ張り出して紹介していく。そういう企画だったらぜひやらせてほしい、という話をしたんです」
WOWOWの方針と土屋氏の思いが一致して、企画が動き出すことになった。『電波少年W』ではウェブ上に登録制のコミュニティページを開設して、そこで視聴者からの意見を募る。
「例えば、子どもの頃のぼんやりとした記憶で『テレビでこういう映像を見た気がするんですけど……』という声が寄せられる。それに対して『それって、あの番組のあのコーナーのことじゃない?』という情報が書き込まれる。そうやってコミュニティの中でさまざまな意見が交わされたりすることで、どの局のどういう番組なのかわかってきたりする。あと、みんなが見たいと思う映像が出てきたりしたら、こちらでテレビ局に頼んで、それを探してみたりする。当時のテレビスタッフに連絡を取って『これって本当にあったんですか?』と聞いてみたりして。そうやって戦後の文化史のような形でテレビの記憶を集めていきたいと思ったんですよね」