川崎氏らの例を経て、JBCでは現在、日本のライセンス保持者でタトゥーや入れ墨があっても、ファンデーションなどで隠せば試合への出場を認めている。一方でルールには「矛盾」もあり、外国人ボクサーはタトゥーがあっても、隠すなどの措置をとらずに日本で試合することが可能なのだ。

 JBCは井岡陣営に処分を下すかの検討に入っているが、「ルール破りだから処分は当然」との声もあれば、「外国人ならOKなのにルールがおかしい」という反論もあり、さまざまな意見が飛び交っている。

 かつてはリングサイドで暴力団組員が集団で観戦したり、試合前に選手に送られる「激励賞」で、暴力団組員の名前が読み上げられたことがあるなど、ダークなイメージがあったプロボクシング。だが、JBCは2007年から警察当局と連携して、さまざまな方法で暴排の動きを強めている。「入れ墨やタトゥー=悪」のイメージが払拭できていない国内の世論を鑑みると、井岡も処分なしでは済まないとの見方もある。

 現在は介護施設で働きながら、全国の少年院などで講演活動を続け、自らが立ち直った経験を語り続けている川崎氏。2人の子供にも、自分がプロボクサーになるために、みんなが協力してくれて入れ墨を消したことを話しているという。

「井岡君を叩きすぎないで、どこかで許してあげて、というのが本音です。ボクサーとしての道がなくなるようなことは、あってほしくないですね」

 当の井岡はこの問題に反応していないが、JBCは来週にも結論を出すとみられる。(AERAdot.編集部)