俳優、脚本家の佐藤二朗さん
俳優、脚本家の佐藤二朗さん

 個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今年最初の配信の今回は、やはり、アレです。

【写真】まさに大仏!笑顔の佐藤二朗さん

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 明けましたな、年。2021年もこの僕をどうかよろしくお願いします。

 やはり年のはじめですから、1年の目標なんぞを書いてみたいと思います。まあアレでしょうな。今年52歳になる僕ですから、まずは9歳にすることでしょうな。精神年齢を。いま8歳ですから。僕の精神年齢。やはり年が変わったわけですから。装いも新たなわけですから。ここは心機一転、9歳にしたいものですな。精神年齢。

 なに?低い?低すぎる?1年の目標として低すぎる?ちょ待て。今年52歳になる男が、思いきって精神年齢を8歳から9歳に引き上げるという宣言をしたのに、低すぎるだと?うん、低いね。低すぎる。いま書いてて気づいた。確かに大の男が年のはじめに1年の目標として掲げる内容としては低すぎるね。

 取り消します。前段の文はすべて取り消します。去年です。前段の文はすべて去年だと思ってください。去年文です。去年文ってなんでしょう。要するに忘れてくれということです。頼むよ忘れてくれ、いいじゃないか忘れてくれよ、おい忘れてくれってこれほど言ってるのに俺の頼みが聞けねえって言うんだな、よおし分かったよ、こっちにも考えがあらあ、そんな石頭の家に大事な娘はやれねえって言ってんだよ!!!!!!!!!!!!

 あの、ごめんなさい、なんの話でしたっけねコレ。「!」を12個も使って字数を稼いでる場合ではありません。目標です。今年の目標です。

 さあ、お待たせしました。ここからの文が今年です。今年文です。さあ今年。2021年。わたくし佐藤二朗が掲げる1年の目標は、ええ、そうです。その通りです。今あなたが予想した通り、僕の今年の目標は、ごめんなさい全然思いつきませんどうしよう。参ったな本当に思いつかない。じゃあなぜに今回のコラムのテーマに今年の目標を選んだのか謎は深まるばかりですが、 まあ、ぶっちゃけ、年が変わったからこうするとかああするということに、僕自身あんまり興味がないんですなあ。ハハハハハハハハハハハハハハハははははははははははははは。

 今度は「ハ」で字数を稼ぐことを試みたわけですが、途中から「は」に切り替えて目先を多少変えてみたわけですが、担当K氏が怒りを通り越し、泣きながら笑ってる姿が目に浮かぶので、今回のコラムは、要するに、まあ、アレです、今年もそういうことだという所信表明です。

 皆さまを、なるべく、できる限り、僕の力が及ぶ限り、心地よく裏切りたい。期待にお応えするということも全力でやりつつ、心地よく裏切ることで皆さまを精一杯おもてなししたい。

 2021年もどうぞよろしくお願いします。

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける。原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)が近日公開予定.

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佐藤二朗

佐藤二朗

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家、映画監督。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や映画「幼獣マメシバ」シリーズの芝二郎役など個性的な役で人気を集める。著書にツイッターの投稿をまとめた『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)などがある。96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がけ、原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)がBD&DVD発売中。また、主演映画「さがす」が公開中。

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