「夜中のトイレへは、寝間着の上にフリース一枚でもいいからサッと着て、厚手の靴下かボア付きスリッパなどを履き、足もとを温かくしてから行きましょう。また、入浴前のトイレでヒートショックになりやすいのは便秘症の人。医療現場で浣腸が使われるレベルの重度な便秘だと、排泄しようといきみ続けることで血圧が跳ね上がって体調が悪化してしまいます。食生活に気を配り、温かい飲み物をこまめに飲み、必要なら無理せず座薬を使うなど、上手な排便コントロールを心がけましょう」

■ リスクが高いのは? メタボ、高血圧…

 高齢者に多いヒートショックだが、中でもリスクが高い人がいる。いわゆるメタボに加え、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症を患う場合、血管が脆い傾向にあり、ヒートショックによるダメージを受けやすいのだ。

 同様にリスクが高いのが心疾患を抱える人。不整脈のひとつ「心房細動」にはなかでも注意したい。心房がけいれんを起こしたようにプルプルと細かく震えて、心臓が規則正しく動かなくなる病気で、最大の問題は心房の中で血栓(血のかたまり)ができてしまうことだという。

「心房細動によってできた血栓がヒートショックではがれ落ちて血流に乗り、他の臓器へ飛ばされて、そこで詰まってしまうのです。脳で詰まれば脳梗塞、肺なら肺梗塞、心筋なら心筋梗塞。いずれも命の危険に直結します。動悸や胸もとに不快感があればすぐ受診を」

 心房細動は時に自覚症状が乏しく、不調を抱えているのに気づかない場合もある。簡単なセルフチェックをしてみよう。

「手首の脈拍を1分間測ってみましょう。チェックポイントは回数とリズム。脈の打ち方が規則正しい『タン、タン、タン』ではなく『タタタン、タン』など一拍抜けたり、不規則だったりしたら、早めに循環器内科を受診して下さい」

 対策まとめ10カ条

 体質や体調、住環境と関連して起こるヒートショック。一人暮らしで体調に深刻な不安がある場合は、ジッパー付きビニール袋などで包んで防水仕様にしたスマホを浴室に持ち込み、いざという時の外部への緊急連絡手段として、手が届く所へ置いておくのも一案だ。

 以下にあらためて、10カ条としてポイントをまとめた。

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