たしかに、小さな子どもまでサーモンの認知度は高い。このままだと、サーモンは不動のセンターに君臨し続けるのか?

「サーモンが何にとって代わるといえば、サーモンほど強力な個性を持っていてバリエーションが豊かという寿司だねっていうのがなかなかない。たとえば、回転寿司だとマグロ、サーモン、ハマチが人気なんですけど、ハマチはサーモンほどのポテンシャルがない。サーモンの次のバリエーション豊かな寿司だねというとイカがあるんですけど。サーモンに次いで、回転寿司のメニューのイカはバリエーションはあります。ただ、イカはバリエーションがあるけど個性がない。素材そのものが主張していないのでいろいろな提供の仕方に姿を変えやすいんですけど、サーモンって味に個性があるじゃないですか。だから、イカはそこまで強くないんですね」

“個性がない”なんて言われるイカを応援したくなる気もするが、水揚げから24時間で日本で食べられるサーモンもあるそうで、そんな変化もありサーモン最強なのである。

「昔、生サーモンっていうのが回転寿司になかった時代は、サーモンって美味しくなかったんですよ。トラウトサーモンだとエサの臭みがどうしても抜けていなくて、だから何かトッピングしたり、何かをかけないと食べられなかったんです。それが生サーモンが出てきたら味が澄んでいて、いままで食べていたサーモンはなんだったんだろうって感覚なんですよね。サーモンをまだまずいと思っているご高齢者も多いかと思いますし、逆にトラウトサーモン時代を知らない若い世代は“サーモンがまずい”ってことを知らないからある意味幸せかもしれないですね」

 ここまで美味しく、バリエーションがあると人気な理由もよくわかる。読んでいてサーモンが食べたくなった方、今日は寿司にしますか!?

■米川伸生/回転寿司評論家。日本全国を駆け巡り、回転寿司を食べ続ける。Youtubeチャンネル「YOROSUSHI TV」/著書に「回転寿司の経営学」(東洋経済新報社)/「回転寿司評論家 米川伸生公式サイトhttp://sushiyone.com