【MF】

 MFは4人を選びたい。1人目に選ぶのは、プロ入り後に日本代表の司令塔としても活躍する柴崎岳(青森山田)。1年時から背番号10を背負い、素早い判断からの正確無比なパスワーク、そして優れた戦術眼で冷静かつ大胆ゲームメイクで試合を支配。最高成績は2年時の第88回大会での準優勝だったが、翌年の89回大会でも圧倒的な存在感を示すなど、青森山田の黄金期につながる礎を築いた。

 2人目は仙頭啓矢(京都橘)。高いテクニックを駆使しながら次々とチャンスを作り出し、3年時の第91回大会で準優勝。攻撃的MFの位置から5得点を奪い、1学年下のFW小屋松知哉とともに大会得点王にもなった。

 3人目は大塚翔(富山第一)だ。第92回大会で主将&10番の大黒柱として多くのチャンスを演出し、史上初の北陸対決となった星稜との決勝戦では「外せば負け」の後半終了間際の同点PKを決め、0対2からの奇跡の逆転V&父との親子鷹で日本一を成し遂げた。

 そして4人目がバスケス・バイロン(青森山田)だ。チリ生まれ日本育ちのドリブラーは、第97回大会で異彩を放ち、独特のステップワークとボールタッチで右サイドを切り裂き、流通経済大柏との決勝戦では鋭い切り返しからのラストパスで檀崎竜孔の逆転ゴールをアシスト。優勝の立役者となった。

【FW】

 FWは3人。1人目は樋口寛規。第89回大会で“ダブル・ブルドーザー”と呼ばれた浜口孝太との強力2トップでゴールを量産。1回戦でのハットトリックから得点を重ね、久御山との決勝でも2得点。計8ゴールを決めて得点王に輝き、滝川二として初、兵庫県勢として72年ぶりの優勝に大きく貢献した。

 2人目には和泉竜司(市立船橋)を選ぶ。力強いドリブル突破からのシュートが魅力だったが、何よりも際立ったのが勝負強さ。3年時に出場した第90回大会の決勝戦で、1点ビハインドの後半ロスタイムに同点弾を叩き込むと、延長後半には決勝弾を決めた。

 最後の1人は、飯島陸(前橋育英)。2年時から背番号10を背負い、小柄ながら鋭いドリブル突破と裏への抜け出し、左右両足からのシュートでゴールを量産、3年時の第96回大会では7得点で得点王に輝き、チームの初優勝に大きく貢献した。FWの3選手は、いずれも「高校日本一」の称号を得た者たち。この経験を糧に、さらなる成長、活躍を期待したい。

<2010年代ベストイレブン>
GK
廣末陸(青森山田)
DF
鈴木大誠(星稜)
関川郁万(流通経済大柏)
松田陸(前橋育英)
MF
柴崎岳(青森山田)
仙頭啓矢(京都橘)
大塚翔(富山第一)
バスケス・バイロン(青森山田)
FW
樋口寛規(滝川二)
和泉竜司(市立船橋)
飯島陸(前橋育英)