ソフトバンク・杉山一樹 (c)朝日新聞社
ソフトバンク・杉山一樹 (c)朝日新聞社

 すっかりシーズンオフに入ったプロ野球だが、来年の開幕が待ち遠しいファンも多いはずだ。特に関心度が高いのがチームに新しい風を吹き込む若手選手ではないだろうか。2020年も高卒3年目の平良海馬(西武)が大車輪の活躍を見せて、見事新人王に輝いた。そこで2021年のブレイク候補となる若手選手について、期待度の大きさからランキング形式で紹介したいと思う。今回はパ・リーグ編をお届けする。なお基準としては2021年のルーキー以外で新人王の資格がある選手とした。

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

*  *  *

5位:渡辺雄大(ソフトバンク:4年目)※支配下登録からは2年目

2020年一軍成績:3試合0勝0敗0セーブ 防御率0.00
2020年二軍成績:12試合2勝0敗2セーブ 防御率0.00

 青山学院大時代はリーグ戦登板がなく、BCリーグ新潟で4年間プレーした後、2017年の育成ドラフト6位でプロ入りを果たしたサウスポー。3年目の今年、支配下登録を勝ち取ると、9月には一軍デビューも飾っている。試合中に緊急降板となった左ひじの故障の状態は気がかりであるが、サイドから投げ込む角度のあるボールと、真横に大きく鋭く変化するスライダーは一級品。来年は同じタイプの左の中継ぎである嘉弥真新也が東京五輪で代表チームに招集される可能性もあるだけに、シーズンを通しての一軍定着に期待がかかる。

4位:樋口龍之介(日本ハム:2年目)

2020年一軍成績:25試合7安打1本塁打1打点0盗塁 打率.140
2020年二軍成績:45試合52安打12本塁打32打点0盗塁 打率.342

 立正大時代はそれほど目立つ選手ではなかったが、BCリーグ新潟での3年間で力をつけて2019年の育成ドラフト2位でプロ入り。ルーキーイヤーの今年は開幕から二軍で4割を超える打率をマークするなどヒットを重ね、9月には球団初となる育成選手からの支配下登録を勝ち取った。上背はないもののたくましい体格でスイングの軸が安定しており、広角に強い打球を放てるのが長所。イースタンリーグでは2位タイとなる12本塁打を放っており、長打力も申し分ない。2年連続Bクラスと低迷するチームのカンフル剤として期待したい選手だ。

3位:古谷拓郎(ロッテ:3年目)

2020年一軍成績:2試合0勝1敗0セーブ 防御率4.26
2020年二軍成績:7試合2勝2敗0セーブ 防御率2.97

 習志野高校時代からフォームの良さに定評があった右腕。1年目から二軍で経験を積んで6勝をマークすると、今年は更に安定感がアップして防御率も大幅に改善し、10月には一軍デビューも果たした。高校時代は140キロ台前半だったが、一軍初登板となったソフトバンク戦では最速152キロをマーク。110キロ台の緩いカーブで緩急をつけられるのも魅力だ。決め球となるカットボールの精度がアップすれば、一軍でも通用する可能性は高い。チームには高卒の若手の本格派が多く、その代表格である二木康太、種市篤暉の二人も3年目に大きく成績をアップさせているだけに、古谷も3年目のブレイクに期待したい。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
最も“ブレイク感”漂うのは?