――ついに念願のプロになれたわけですね。クオリティの高いモノマネを披露するには練習が大変だと思いますが、どのように行っているのでしょうか?

 最初はとにかく写真や動画などをよく見て研究しました。野球の動きがよく分からかったので、こうだって思っても、全然できないんですよね。左打ちのバットの握り方も理解していませんでしたし、手の角度とかも、どこか一箇所を意識すると、またどこかがズレてしまって、うまくいかない。家の鏡を見ながら、何度も何度も反復練習をやり続けました。今でも練習は欠かさず続けています。

 そんな練習の影響だと思いますが、プライベートでも写真撮影の時に、僕はまったく笑わなくなりましたね(笑)。なぜか、イチローさんの顔を作って撮ってしまうんです。僕の場合、正面の顔があまりイチローさんに似ていないので、ついクセで横顔になってしまう。だから同じ写真ばかりになります。今では正面で撮られるのがとても恥ずかしいです(笑)。

――一種の職業病というやつですね(笑)。これからもイチローさんのモノマネを続けていくのでしょうか?

 一生続けていくでしょうね。バットを構えられなくなるまで。そのうち、バットが杖になるかもしれないですけど(笑)。 やっぱり楽しいですからね。モノマネのために、毎日体幹トレーニングもしますし、素振りも欠かさずやりますけど、すべてが楽しい。イチローさんのモノマネを始めてから、仕事がしんどいと思ったことはありません。というか、それは思っちゃいけない。人のモノマネをして苦労していますとか、絶対言っちゃいけないと思うんです。それは相手に失礼です。モノマネをやらせていただているので、とことん楽しんで仕事をするのが、せめてもの礼儀だと僕は思っています。

 イチローさんのモノマネに出会うまでの僕は、興味を持つものが何もなかった。趣味も特にないし、何かをやり始めても、すべて三日坊主的に終わってしまうことが多かった。でも、イチローさんのモノマネだけは、これだけ長く続けてこれている。まだまだイチローさんの足元にも及びませんが、少しは自分自身、成長できたかなと実感しています。イチローさんからは、自分の意思をしっかり持つこと、物事を続けることの大切さを学べたと思っています。

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