※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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下北沢病院の院長、菊池守医師
下北沢病院の院長、菊池守医師

 糖尿病などが原因で足を切断されるケースは、国内で年間一万件以上にものぼる(日本下肢救済・足病学会調べ)。命の危険を感じにくく、放置しがちな足の病気だが、そのリスクは非常に高い。アメリカでは歯科医院と同じように足専門の病院があるというが、日本ではこれまでほぼなかった。しかし2000年頃からフットケアの考え方が普及し始め、足の病気を専門に診るフットケア外来を設ける病院が増えている。

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 フットケア外来には、そのリスクの高さから、糖尿病患者向けのものが多い。足の病気と糖尿病を専門にチーム医療をおこなう下北沢病院の院長、菊池守医師はこう話す。

「糖尿病を抱えている方は水虫にかかりやすいので、水虫で皮膚が弱くなった箇所から感染症を引き起こすことがよくあります。血流も悪いので治りづらく、放置しておくとそこから足が腐ってしまい、下肢切断につながります。そうならないために指導やケアをおこなうのが、フットケア外来です」

 同病院のフットケア外来では、うおのめやタコを薄く削ったり、巻き爪のケアをしたりと、足に傷がつかないように予防するほか、生活指導もおこなっているという。

「糖尿病の患者さんは神経障害も持っているので、足の感覚が鈍く、うおのめやタコができても気づきにくい。そのため、毎日ご自分で足に異常がないか、観察をするようにお願いしています。靴の中に何かが入っていても気がつかないということもあるので、履く前に靴の中を確認するのも大事です」

 さらに、外来スタッフには理学療法士や義肢装具士もいるため、歩き方の指導や靴の選び方などの専門的指導も一つの病院内でおこなえる。この手軽さと安心感が、フットケア外来の大きな魅力の一つと言えるだろう。

 ただ、当然、足のトラブルを起こすのは糖尿病患者だけではない。陥入爪(巻き爪によって皮膚に爪が食い込んでしまった状態)や外反母趾などの患者はどこを受診すればよいのだろうか。菊池医師は次のように話す。

「もちろん、糖尿病患者さんでなくても、うおのめやタコが単純に痛いということもあるので、そういった患者さん向けのフットケア外来もあります。同じフットケア外来という名前でも、対象としている患者が違うことがあるのです」

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