最後に、福田さんが今シーズン実際に購入したアイテムを教えてもらった。セールで似たようなアイテム安くなっていたら、「買い」だろう。

「まずは、“カシミアパーカー”です。コロナでリモートワークの人も多く、ステイホームで自宅時間が増えています。そんな時、家でも気軽に着られるのがパーカー。でも、綿素材ではラフになり過ぎるので、質感のあるカシミアなら出かけるにしてもカジュアルになり過ぎず、ビジネスシーンでも使えます」

 福田さんがこの冬購入したというZARAのカシミアパーカー(23,990円)(※)。ファストファッションにしては少しお高めだが、同程度の商品でハイブランドなら、ひと桁値段が違ってくる。カシミアで2万円台はお買い得だという。

「カシミアだけでなく、ヤク、ラクーンなどのニットも数年前から人気です。チクチク感がなく、肌触りがいいのが特徴。ホームクリーニングできるものもありますし、上質のものであれば、毛玉が出たり、毛羽立ったりしても、その部分をカットするだけできれいになります。大切に着れば、さらにお気に入りになってくるものです」

 また、染色をしていない自然な風合いの1枚というところもお気に入りだという。

「ファストブランドの洋服は、その年に流行のものを買ってその年で終わり、という消費者が多かったと思いますが、先行き不安のコロナの影響もありますが、“SDGs”の考え方も少しずつ浸透してきているのではないかとも思います」と福田さん。

 SDGs とは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略。染色も大量の水を使い、環境悪化を招くので、自然の色そのままのニットはその意味でも環境にやさしいというわけだ。

「もう1つおすすめしたいのが、リサイクル素材を使ったスニーカーです。アディダスをはじめ、ナイキ、コンバースなど各社スポーツメーカーが出しています」

 福田さんが購入したアディダスの定番スニーカー、スーパースター(12,000円)(※)もサスティナブル素材だ。“タン”に“THE CLEAN CLASSICS”と記載されている。

「靴ひもが白と黒の2種類入っているので、1足のスニーカーが靴ひもを変えるだけで2パターンの表情が楽しめるのもいいところですね」

 冬はコートやジャケットなど暗い色のものが多くなりがちだ。足元を白くすることで重たくならず抜け感が出て、全体がすっきりまとまる。白であれば夏になっても重宝するので、色は白がおすすめだそう。

「カシミアパーカーにテーパードパンツ(裾に向かって細くなるパンツ)やタイトスカートを組み合わせれば、通勤でもOK。いつものパンプスでもいいですが、スニーカーなら今っぽさが出ます」

 買うものは定番でも、手持ちの意外なものを合わせてみると、“案外いいかも!”という発見もあるそう。ファッションの固定観念を捨てておしゃれを楽しんでみるといい。

※いずれもスタイリスト私物。値段などは購入時で、現在は販売していない可能性もあります。

(取材・文/スローマリッジ取材班 時政美由紀)

福田栄華(ふくだ えいか)/1972年、東京生まれ。スタイリスト。文化服装学院スタイリスト科卒業後、『CanCam』(小学館)でのアシスタントを経て、独立。同誌で10年活動後、『ef』(主婦の友社)や『CLASSY』(光文社)、Webファッション誌で活躍。自身の結婚を機に『VERY』『美ST』(ともに光文社)、『saita』(セブン&アイ出版)、『Pre-mo』(主婦の友社)などママ雑誌、ベビー雑誌にも活動の場を広げる。『女性セブン』(小学館)では、シニア世代も視野に入れた着やせ企画で人気。「服はシンプル。小物で味付けを」がスタイリングルール。“大人スタイル”を牽引するスタイリストとして、幅広い層に支持を得ている。プレイベートでは男の子のママでもある。著書に『福田栄華 大人のプチプラ着こなし帖』(宝島社)、『必ずアカ抜ける 大人のおしゃれテクニック塾』(光文社)、『いくつになってもおしゃれに 大人のシンプル着こなし入門』『プチプラを上手に取り入れて ふだんの服で大人のおしゃれ」(朝日新聞出版)などがある。