(5)  2週間分の日用品の買い出し
 もし親が新型コロナウイルスに感染した場合、入院か自宅待機を余儀なくされる。そうなるとすぐ帰省することは不可能だ。そのときに備えてトイレットペーパーやティッシュなどの日用品、すぐ食べられるレトルト食品や缶詰などのストックをしておく。目安は2週間程。

「コロナに感染しないまでも、外を出歩いて気軽に買い物に行けない昨今、ある程度のストックは心強いものです」(同)

(6)  買いすぎ注意、保管場所を確保
 買い出しで気をつけなければいけないのは、買いすぎと保管場所。生活空間において歩行の妨げになって、転んだりケガをしたりしないように、スペースを作って保管しよう。

「備えたはいいが、歩行の邪魔になり転倒! では元も子もない。買ったことで満足せずに、どこに保管したかなど親にわかるようにきちんと伝えておきたいですね」(同)

(7)  自分の持ち物の処分
 実家の片付けで、親が処分に困っているもので、意外な盲点があるという。子ども、すなわち実家に保管している自分の持ち物だ。

実家に自分のものを置いたままにしている人は意外に多い。そのうち何年も経ってしまい、置いていることすら忘れてしまっているケースが。親は自分のものは処分できても、子どものものは“人のもの”なので、捨てられないのだという。

「私の相談者で多いのは老親を持つ娘さんなのですが、実家に自分のものを置きっぱなしにしている人が多いんです。結婚して実家を出て何十年も経っているのに、置いたまま。親は子どもから預かっている立場になってしまうんです。それに苦しめられている親は意外と多いんですよ。だから、たとえ段ボール1箱でもいいので持ち帰るなり、処分してみてください。その空いたスペースに備蓄品を置いてもいいのですから」(同)
 
 思い当たる人はそこを見直すだけでも帰省の価値があるかもしれない。

(8)  デジタル機器の設定
 感染者が増えれば、遠隔で連絡をとりあう機会が増える。高齢者が苦手なデジタル機器の設定を帰省中にやってあげよう。

「テレビ電話ができるとか、LINEができるとか、パソコンやスマホの設定をしてあげるのもいいですね。携帯電話を同じ機種にしておけば説明などもしやすく便利です」(同)
 
 感染者数の増加に伴い、先行きが見えない状況だが、いつでも動けるように心構えと情報収集は欠かせないと言える。

(写真/永井美穂 取材・文/スローマリッジ取材班 時政美由紀)

永井美穂(ながい みほ)/1965年愛知県生まれ。認知症が進行した祖父を看取る際に、祖父が怖くて手を握ることができなかった後悔から、10年勤めたテレビ制作会社を辞め、介護福祉士の資格取得し、10年間介護事務所に勤務。高齢者の在宅介護に従事する。環境整備、清潔保持から栄養管理にまでわたるきめ細やかな対応により、多くの家庭の信頼を得る。さらに整理収納アドバイザーの資格を取得し、高齢者が健康、安全に暮らせる環境作り、片づけを実践するために、日本初の「片づけヘルパー」として活動。NHK『クローズアップ現代』『おはよう日本』、テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』など、メディアに多数出演。著書に『日本初の片づけヘルパーが教える 親の健康を守る実家の片づけ方』(大和書房)。オフィシャルサイトhttps://www.mie-style.com/ 
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