「2軍なら対応できるが1軍だと崩される。やはり1軍では多少、打ちに行かなければ対応できない。今年の広島での一二塁間に放ったヒットも重心を残そうと思っているから、落ちる系の球に対し最後は片手だけになるような形になった(プロ2安打目、11月11日の広島戦)。もっと重心をぶつけて強くスイングできるはず」

 期待されているのは打撃だけではない。投手をやっていた強肩と、フットワークの良さを併せ持つ守備も高いレベルでプレーすることが求められる。しかし現在は内外野、どっちつかずの状態になっているのも事実。名手の遊撃手として鳴らした宇野は、根尾の守備位置問題はどう見ているのか。

「内野守備に関しては、上半身と送球の固さは感じる。内野手的な柔らかい送球がまだ欠けている。同じ内野でもポジション毎に違うから、それぞれで練習と実戦経験をこなすことが必要。でも動きを見ていると内野はどこでもこなせそう」

「外野守備は福留と田口壮が見本になる。似たような境遇を味わっている。遊撃から外野に移って世界で戦えるほどになった。田口は送球難でイップスになった経験もしている。他球団だけど、直接話を聞いてみる価値があるんじゃないかな」

「根尾の2年間はムダではない。これからも総合的にいろいろな面を高めて欲しい。また自信も多少はついたはず。1軍と2軍の違いも掴んでいるはずだから、常に上を意識すること」

 冷静かつ厳しく語ってくれたが、チーム、ポジション、背番号が同じ後輩に最も期待しているのは宇野なのだ。

中日は強いよ」と最後に付け加えてくれた。久しぶりの優勝を掴むためにも根尾の活躍は必要不可欠だ。(文中敬称略)

(文・山岡則夫)

●プロフィール
山岡則夫/1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌『Ballpark Time!』を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍、ホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!公式ページ、facebook(Ballpark Time)に取材日記を不定期更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。