「始動、ヒッチ、足の動きなど、自分に適した間合いの取り方を研究すること。例えば、落合さんは神主みたいに構え、腕を引きながら足を開き気味にステップする。王(貞治)さんは一本足。イチローがやった振り子もある。個々それぞれ違うから、研究して組み合わせて、根尾が自分に合う形を作り出す。何が良いのかは本人しか見つけられない」

「打撃は感覚だから、自分のものを大事にすれば良い。周囲も根尾本人の感覚を大事にしてあげて欲しい。打者は今までのものを少し変えても、大きく変化した感覚になる。逆に本人は大きく変えたつもりでも、『何も変わっていない』と言われたりする。若手なので気を使うこともあるだろうが、そこは自分しか頼れない部分」

『間合い』に関しては、『打ちに行く』ことの重要性も力説する。一般的に打撃では『突っ込むくらいなら詰まる方が良い』と言われる。しかし宇野は逆に近い発想を持っている。技術的、精神的ともに『打ちに行く』ことが大事と言う。

「身体が突っ込んだり、泳いだりすると、打ちに行っているから、という人は多い。極端に前に出て崩されるのはダメだが、もう少し『打ちに行く』ことを大事にして欲しい。例えば、右打者が軸足の右足に体重が乗ったままでは、インサイドを捌こうとすると左肩が開き気味になって打ちにくい。逆に打ちに行っている方が、左肩の開きを我慢できたりするから」

「呼び込んで逆方向へ打つイメージを持っている打者が多い。根尾も泳がされたりしてしまうこともあり、気をつけているのだと思う。遅い変化球などは身体が残っていても打てる。しかし速い球は差し込まれて打ちにくくなる。最初から残そうと思うのでなく、打ちに行って残る感じが大事」

 2軍では71試合に出場、282打数67安打、5本塁打、33打点、打率.238。満足できる数字ではないが、試合に出続け期待を抱かせる場面もあった。しかし1軍では9試合の出場で、23打数2安打、打率.087。出場機会が少なかったのを差し引いても、物足りなさが残った。

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根尾の守備に関しては…