■営業担当者は質問に答えられるか

・物件のデメリットを確認する
 不動産の営業担当者は物件を売ると、自分の給料に販売報酬が上乗せされることが多い。売らないと稼げないので、売りたい物件については長所を並べ立てる。そこで現地見学の際は、その長所を確認しつつ、逆に「デメリットは?」と聞いてみよう。どんな物件でも必ず長所と短所がある。知識のある優秀な営業担当者なら、あとでもめるのを避けるため、短所であってもきちんと伝えてくれるはずだ。

・物件価格の相場との差を聞く
「お得な物件ですよ」というのであればそのエリアにおける不動産価格の相場と比べてどのくらいお得なのか、聞いてみる。また、その物件がなぜ相場より安いのかも、見学を踏まえて確認する。不動産に「掘り出し物」は存在しない。安い物件には必ず理由があるのだ。

 さらに、可能であれば、下記のように物件周辺の状況なども確認しておければなおいい。

■物件周辺を自分自身でチェック

・物件の周辺の様子をチェックする
 その物件がどのような環境にあるのかを自分の目で確認する。住宅地として古いのか新しいのか。近隣の住民は高齢なのか若いのか。筆者が物件を探したときは、隣家の庭木や車を見て、きちんと手入れがされているかをチェックした。外まわりが荒れている家があるようなら要注意だ。

・近隣住民と会話する
 不動産業者が空き物件に客を案内していることに気づくと、近隣の住民が様子を見に出てくることがよくある。すかさず挨拶して話しかけてみるといい。「日当たりのいい土地ですね」「緑が多いですね」「駅が近くて便利ですね」など、メリット面から声をかけると、気をよくして警戒を解いてくれる。数分の雑談だけでもその地域の雰囲気がわかる。

 なお、本命の物件の前後に、その不動産業者が自社開発した分譲住宅に連れていかれることがある。これは、仲介だけだと収益が少ないので、本当は自社で土地を仕入れて建物まで用意した“お得な”物件を売りたいからだ。

 こういうときはある程度案内に付き合ったら、「時間がないので」とさっさと切り上げよう。業者の利益を確保するために工務店に安く建てさせている建物である可能性もある。そうなると、断熱性能も期待できないし、施工管理も不十分で雨漏りなどの不具合も発生しがちだ。よほど立地がよくて売却しやすい物件ならともかく、業界を知る者としてはお薦めできない。

 もちろん、こんな業者ばかりではないし、良心的な不動産業者、優秀な営業担当者と出会うことができれば、自分の納得のいく物件を見つけることも十分に可能だ。2、3月になるとさらに物件探しのライバルは増える。

 今回ご紹介したチェックポイントを念頭に置いて、なるべくなら12月のうちに、遅くとも年明け早々には始動して、信頼できそうな不動産のプロと巡り合っておこう。(文/山本五月)