・一方的に営業の連絡をしてくる


 不動産業者にとって営業電話の「ゴールデンタイム」は、在宅率の高い平日の20時以降や休日の午前中だ。しかし、業者にとっては業務時間内であっても、こちらは自宅でゆっくりしたい時間帯。そこの配慮もなく一方的に電話をかけてくるような業者は、商談に入っても自分のペースを押しつけがちだ。

・やたらと物件情報を送りつける
 熱心さの表れといえそうな気もするが、送りつけてきた情報をよく見ると、こちらの提示した条件にあてはまらない物件も相当数含まれていたりする。要は手当たり次第にそれっぽい情報をあてがって当たればラッキー。こういう営業担当者との関係は長続きしないだろう。

 そのほか、電話での口調やメールの文面など、何かしら違和感を覚えるようなら用心しておいたほうがいい。

■3種類の不動産業者を見極める

 上記のような違和感もなく、スムーズに物件見学の約束を交わすことができたら第1段階クリア。いよいよ事務所に足を運んで、実際に候補の物件を現地で見学することになる。

 その前に知っておきたいのは、不動産業者には大きく分けて3種類あるということ。それは「地元で長くやっている独立系の会社」と、「大手全国チェーンに加盟している業者」、そして「新規に設立されたばかりの会社」だ。

 独立系の会社には地縁や人脈があり、独自の情報を持っているが、常連の顧客だけでやっていけるので新規客には無愛想だったりする。チェーン加盟店は店舗の見た目はきれいで接客もマニュアル通りだが、小口の顧客には通りいっぺんの対応しかしないことが多い。新規店は割引や特典などを大盤振る舞いするので一見お得にも映るが、仕事の仕方が粗いなど、リスクも気になることがある。

 これら3種類の業者があり、その中でも土地売買、賃貸管理、分譲開発などそれぞれ得意分野も異なる。どの種類の業者でも一長一短あるので、営業担当者との相性も含め、先入観に惑わされず、しっかり見極めたい。

 そこで第2のチェックポイントは、事務所の様子だ。 

■事務所まわりもさりげなくチェック

・事務所の外まわりがきちんと整えられているか
 入り口付近がきれいに片付いているか、掲示してある物件情報がきちんと更新されているかなどを確認する。社員教育の程度は掃除や整理整頓、外向けのディスプレーなどに反映されるものだ。

・社員同士の会話に社風が表れる
 来客に対してはそれなりに挨拶ができても、事務所内でよく耳を澄ませていると、社員同士ではだらけていたり、逆にパワハラのようなやりとりがあったりすることも。取引先との電話の様子にも注目したい。社員の勤務風景からは、表向きではない社風が察知できる。

 事務所内に案内されたら、以上の2点をさりげなく探ってみよう。その不動産業者の印象を具体的に把握することで、その後のトラブルの予兆もいち早く察知できるはずだ。(文/山本五月)