「四国三郎」とも称される四国の大河、吉野川を見ながら走る徳島線の気動車。阿波加茂~辻間(写真提供/坪内政美)
「四国三郎」とも称される四国の大河、吉野川を見ながら走る徳島線の気動車。阿波加茂~辻間(写真提供/坪内政美)

 漢字パズル誌「みんなの漢字」の好評連載「難珍駅名旅気分」からJR徳島線を紹介します。この路線は四国一の大河、吉野川に沿って徳島県北部を東西に貫く67.5キロメートルのローカル線。普通列車の全列車が高徳(こうとく)線、土讃(どさん)線に乗り入れます。吉野川沿いを走るため、「よしの川ブルーライン」の愛称も。沿線にはユニークな駅名が数多くあり、その土地の特徴や歴史を伝えています。

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■【設問】この駅名、読めるかな?(答えは最後)
Q1 佐古
高徳線との接続駅で、全列車が高徳線で次の徳島駅まで乗り入れます。佐古は、徳島市のシンボル、眉山(びざん)の北麓に位置し、新町川などの川が流れる町。地名は、山と川に挟まれた「狭所」を表すといいます。

Q2 鮎喰
吉野川の支流、鮎喰川が駅の西を流れ、鮎喰川橋梁から続く築堤上に駅があります。「鮎喰」の地名は、鮎喰川が氾濫して田の畔が崩れたことを表す「アクエ(畔崩え)」が語源と考えられています。

Q3 府中
「府中」の地名は、古代律令時代において地方政治を担う阿波国国府の所在地だったことを示します。「ふちゅう」と読むのが一般的ですが、「不忠」に通じるのを嫌い、徳島藩が現在の難読地名に改めさせたと伝わります。

Q4 麻植塚
「麻植」の地名は、古代に勢力を誇った阿波忌部(あわいんべ)氏が麻を植えて布を織り、天皇に献上したことにちなむといいます。または、古くは麻の産地で、古代麻を「お」と呼んだことに由来するとも。

Q5 学
「学」の地名は、昔当地にあった了慶寺の僧侶に、多くの人が学問を習いに訪れたことにちなむとか。当駅の入場券は、5枚で“ご入学”に通じ、入場券5枚をセットにした「合格祈願きっぷ」が販売されています。

Q6 穴吹
「穴吹」の地名は、川沿いの崩れやすい所を表す「ハナ(端)・フキ(崩壊地形)」が語源とも。江戸時代より藍の集散地として栄えた脇町の玄関駅で、築100年超の商家が並ぶ「うだつの町並み」で有名です。


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