島田洋七さん (撮影:中西正男)
島田洋七さん (撮影:中西正男)

「マヂカルラブリー」の優勝で幕を閉じた「M-1グランプリ2020」。2002年から5年にわたり「M-1」決勝の審査員を務めた島田洋七さん(70)が注目したのは「マヂカルラブリー」のツッコミ・村上さん。「完全に出来上がってる」と絶賛しました。これまで約30年で重ねてきた講演会は4800回以上にも及ぶ洋七さんですが、今年3月からは新型コロナの影響で全て中止に。そんな中での「M-1」に特別な思いが込み上げてきたと言います。(取材・文:中西正男)

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 やっぱりコンテストやからね。その日に笑いを取ったもんが優勝せんかったらおかしいもんね。笑いの数が多いコンビが勝つ。それが大原則やと思う。

 それでいうと「マヂカルラブリー」はしっかり笑いをとってた。しかも、ボケの方があれだけしゃべらずに、あれだけ笑かしてるわけやから。大したもんやと思います。

 ほんでね、すごいのはツッコミ。完全に出来上がってる。めちゃくちゃうまかった。相方があれだけしゃべらず、ほぼジェスチャーみたいになってて、それに対してあれだけボンボンつっこんで。あれは、ホンマにすごいわ。

 あと、しゃべくりやったら「ニューヨーク」がうまい。「マヂカルラブリー」のツッコミみたいに「ニューヨーク」のしゃべくりもできあがってる。ただ、オレの個人的な見立てかもしれんけど、ちょっと緊張してたかな。

 そら、あがるわな。生放送で、あの環境で。緊張して当然です。ほんで、すごくざっくり言うと、動きの方が緊張せぇへんもんな。もちろん、あの場に出るから緊張感はあるやろうけど「マヂカルラブリー」のボケの“動き”には、緊張が反映されにくいというか。

 かたや、しゃべくりで進めていく方は噛んだらアカンし、間をズラしてもアカンし、声のトーンを間違えてもアカンし、それを考え出したら、そら、もっと緊張してくるよ。

 オレが審査をしてた時で言うたら「ブラックマヨネーズ」はものすごく面白かったけど、あいつらもものすごく緊張してたんよ。完全なしゃべくりやし。

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中西正男

中西正男

芸能記者。1974年、大阪府生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当として、故桂米朝さんのインタビューなどお笑いを中心に取材にあたる。取材を通じて若手からベテランまで広く芸人との付き合いがある。2012年に同社を退社し、井上公造氏の事務所「KOZOクリエイターズ」に所属。「上沼・高田のクギズケ!」「す・またん!」(読売テレビ)、「キャッチ!」(中京テレビ)、「旬感LIVE とれたてっ!」(関西テレビ)、「松井愛のすこ~し愛して♡」(MBSラジオ)、「ウラのウラまで浦川です」(ABCラジオ)などに出演中。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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