「今年、コロチキのYouTubeチャンネルで、ナダルさんの底意地の悪さを前面に押し出した企画が量産され、認知度がより高まったからではないでしょうか。チャンネル自体は5年前からありましたが、コロナ禍以降、物凄い勢いで更新されるようになったのです。ナダルのギャグやコロチキのネタはすべて相方の西野さんが書いているというのは有名な話ですが、このYouTubeでもそんな西野さんの筆がのった企画が多い。ナダルさんはくりぃむしちゅーの上田さんのような司会者に憧れ、自分で番組を回すことを目標にしていたため、今までこれほども怪人キャラを開放することはありませんでした。しかし、ついに観念したのか、YouTubeではイジられ役に徹しています。これを見た業界関係者からオファーが殺到するのも当然というほど、相当面白い。ナダルさんも結婚して家を買い、さすがにいつまでも『イジられたくない』とは言ってられないのでは」

■実はお笑い第7世代だったナダル

 となると、今のナダル人気に便乗して、コンビとしても大ブレイクしたいところだが……。

「西野さんは今後もナダルさんを通して露悪的なネタを量産していくとは思いますが、やはりコンビとしてはなかなか難しいでしょう。ネタが面白いだけでは天下は獲れないのが今のお笑い業界ですからね。コロチキって売れるのが異常に早かっただけで、実は今をときめくお笑い第7世代と同期なんです。その分、コロチキは上の世代と孤独な戦いをし続けてきただけあって、場数は相当なもの。第7世代といえば霜降り明星がトップとされてますが、経験値でいうとコロチキなんです。 第7世代ブームが終わる前にぜひコロチキには合流してもらって、怪人ナダルに導いてもらいたい。そのときこそ、彼が本来やりたかった回し役などもできるのではないでしょうか。うまく回せず同期から袋叩きにあう絵が想像できますが、それもまたナダルさんの持ち味ですから」(前出の放送作家)

 今後も“怪進撃”が続きそうだが、お笑い評論家のラリー遠田氏はナダルのブレイクの裏に、知られざる事実があるという。

「ナダルさんがここまで評価されるようになったのは、相方の西野さんの功績が大きいと思います。ナダルという芸名をつけたり、白のタートルネックという衣装を考えたのも実は西野さんなんです。ナダルさんがもともと持っていた『絶対に自分の非を認めないプライドの高さ』を見抜き、それを面白いものに見せるためのプロデュースに成功したからこそ、ナダルさんがブレークしたのです。赤塚不二夫さんが亡くなったとき、タモリさんが弔辞で『私もあなたの数多くの作品の一つです』と言っていたことがありますが、それと同じ意味でナダルさんも西野さんの“作品”であると言えるでしょう」

 2021年もナダルはお笑い界で生き残ることはできるのか。要注目だ。(藤原三星)

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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