おっと。「今年を振り返る」などという慣れぬ行為をしてるもんだから、早くも字数が迫っている。まあ、今年はどこをどう思い出しても新型コロナウイルスの影がよぎるわけですが、そんな中でも三谷幸喜さんと香取慎吾くんがタッグを組んだ「誰かが、見ている」が配信されたり、独自の早押しアプリを開発して「99人の壁」が無事に収録再開を果たせたり、「ヲタクに恋は難しい」「今日から俺は!!劇場版」「新解釈・三國志」という福田雄一がメガホンをとった映画が3本も公開されたり、前述したミュージカル「プロデューサーズ」に出演したり、どれをとっても無事にお客さま方にお届けできたことに感謝と安堵でございます。

 そして、ごく最近のことですが、僕が原作・脚本・監督を務めました映画「はるヲうるひと」が、韓国の江陵国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞いたしました。主演の山田孝之をはじめとするキャスト、スタッフ、関係者、そしてコロナ禍で延期になっている公開を心待ちにしてくださってるお客さま方、すべてに感謝です。日本では来年6月公開。賑々しく、ご期待を乞います。

 更になぜか、歌いました。はい。僕、歌ったんです。歌番組で初歌唱。FNS歌謡祭。中学や高校の同級生、恩師、親戚、いろんな人から「見たよ」のメール。ですが実は、僕、録画したものをいまだに見てないんです。見られないんです。怖くて。でも歌謡祭の司会をした相葉から「じろちゃん、良かったよ」とうれしいメールをもらったので、今度思いきって見てみようと思います。酔っ払った上で。シラフで見る勇気はないので。

 とまあ、駆け足にもほどがある感じで今年を振り返ってみましたが、上記以外にもたくさんの仕事と巡り会えたことにはもう本当に感謝の一語。そして自粛に明け暮れた印象はあるものの、なんとか今年も精いっぱい、必死に生きられたかなと感じています。

 来年はどんな年になるんでしょうかね。2021年の師走も(←気が早い)、「まあ今年も必死に生きられたかな」と思えるよう頑張ります。皆さん、よろしければ引き続き、お付き合いを。

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける。原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)が近日公開予定

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佐藤二朗

佐藤二朗

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家、映画監督。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や映画「幼獣マメシバ」シリーズの芝二郎役など個性的な役で人気を集める。著書にツイッターの投稿をまとめた『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)などがある。96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がけ、原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)がBD&DVD発売中。また、主演映画「さがす」が公開中。

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