婚約内定の会見時の眞子さまと小室圭さん(c)朝日新聞社
婚約内定の会見時の眞子さまと小室圭さん(c)朝日新聞社
河西秀哉(かわにし・ひでや)/1977年生まれ。歴史学者。著書に『近代天皇制から象徴天皇制へ』、編著に『平成の天皇制とは何か』など。
河西秀哉(かわにし・ひでや)/1977年生まれ。歴史学者。著書に『近代天皇制
から象徴天皇制へ』、編著に『平成の天皇制とは何か』など。

 秋篠宮家の長女・眞子さま結婚問題に国民の関心が集まっている。お相手の小室圭さんとの結婚に関する行事の延期が発表されてから2年以上が経つ。11月、眞子さまはあらためて結婚の意思を明らかにされたが、「多くの国民が納得して祝福している」とは言い難い状況が続いている。この問題について、名古屋大学准教授の河西秀哉氏(歴史学)に読み解いてもらった。

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――日々さまざまなニュースが出ては消えていきますが、眞子さまの結婚問題については、時間の経過とともに世の中の関心が薄れるということがありません。ネットの書き込みに限れば、批判の嵐。宮内庁に抗議の電話が殺到しているという報道もありました。どうして、これほどまでに激しい反応を呼び起こしてしまったのでしょうか。

河西秀哉氏(以下、河西):お2人の結婚に批判的な意見を持つ国民は「私たちの皇室を傷つけられた」と感じているのだと思います。その一番の原因は、お金の問題でしょう。お2人の婚約内定の発表時は、今どきの若者らしい側面もあったものの、国民に好意的に受け止められ、社会に祝福ムードが醸成されました。風向きが変わったのは、小室さん親子の金銭トラブルが報じられてからです。

――とはいえ、なぜここまで、です。

河西:それを理解するためには、時間の流れを少し巻き戻して、平成の皇室のあり方をふりかえってみましょう。

 上皇陛下と美智子さまは、被災地への訪問などを通じて、国民の前にその姿を現してきました。かつ、それは個人の私利私欲にまみれた俗世間とは正反対の、道徳性を帯びた姿でした。ご高齢になっても公務に励むお2人の姿に、国民は感動していましたよね。「自らを犠牲にして、その役割を果たそうとしている」と。政治家の不甲斐なさとも対比され、国民はよりいっそう、そういった思いを強くしたと思います。皇室の道徳性と清廉性が支持されていたのです。

 つまり、平成の時代、国民はその姿を目にすることで皇室を自分と近しい存在として感じつつ、両陛下の人格によって俗世間とはどこか違う尊敬できる存在とも思っていた。平成から令和のお代替わりでは、一連の行事で日本の皇室の伝統というものに触れる機会も増えた。皇室に対する敬意は頂点に達していたといえます。

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人間のだらしなさを象徴する「お金」の問題