DeNA時代の須田幸太(左)と広島時代の船越涼太(右)(写真提供・横浜DeNAベイスターズ、広島東洋カープ)
DeNA時代の須田幸太(左)と広島時代の船越涼太(右)(写真提供・横浜DeNAベイスターズ、広島東洋カープ)

 新型コロナウイルスの影響で2020年はアマチュア野球の主要大会はその多くが中止となったが、そんな中で開催された全国大会が都市対抗野球だ。名物である応援合戦は禁止となったものの、11月22日から12日間にわたって熱戦が繰り広げられ、Honda(狭山市)が11年ぶり3度目の優勝を果たした。

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 今大会では栗林良吏(トヨタ自動車→広島1位)など今年のドラフト会議で指名された選手も多く出場していたが、その一方でプロを戦力外になりながらも社会人野球の一線で活躍している選手も存在している。今回はそんな東京ドームで躍動した元プロ選手について紹介したいと思う。

 まずここ数年で最高の成功例と言えるのが須田幸太(JFE東日本/元DeNA)だ。DeNAでは主に中継ぎとして8年間プレーし、16勝1セーブ37ホールドという成績を残したが、一昨年オフに退団。昨年古巣であるJFE東日本に復帰すると、都市対抗では5試合全てに登板するフル回転の活躍を見せてチームの優勝に大きく貢献し、MVPに当たる橋戸賞も受賞している。

 今年は開幕戦で三菱自動車倉敷オーシャンズに敗れたものの、5番手で登板して2回を被安打1、無失点、4奪三振と変わらぬ安定感を見せつけた。スピードは140キロ台前半がアベレージと社会人野球の中でも決して速い部類ではないが、数字以上にボールの勢いがあり、コーナーいっぱいを突くコントロールも見事という他ない。今年で34歳という年齢を全く感じさせず、その存在感は圧倒的と言える。チームには実績のある投手が少ないだけに、来年以降もまだまだ投手陣を支える存在として期待がかかる。

 須田と同じ元DeNAの投手でチームに欠かせない存在となっているのが伊藤拓郎(日本製鉄鹿島)だ。帝京高校時代の1年夏に出場した甲子園では148キロをマークしてスーパー1年生として注目を集めた投手である。その後はもうひとつ結果を残せずにドラフト9位でプロ入りしたものの、わずか3年で戦力外となり、2015年から3年間はBCリーグの群馬でプレー。一昨年から社会人球界に移籍している。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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野手でも存在感を示した「元プロ」