二つの大学に通ったからこそわかったこともあった。

「驚いたのは、学生のマインドの違い。どちらがいい悪いという話ではありません。私立大の学生は、上をめざすより自分の能力を見極めて、いい意味でしたたかでたくましかった。一方、一橋大の学生は勉強すれば自分はできるという信念が強く、果敢に挑戦する精神を持っていた。置かれている環境やマインドによって、将来は変わる、ひとつの視点で物事を見てはいけないということを学びました」

 周りに自分と同じ境遇の人がおらず、受験期は孤独との闘いでもあった。もうダメかもしれないと気持ちが折れかけたこともあった。自身の経験を振り返り、受験生に伝えたいこととは。

「受験は、やった分だけ返ってくるフェアな戦い。たとえ合格というゴールにたどり着かなかったとしても、その経験は必ず自分の糧になる。君にはちゃんと、積まれているよ」

水野良樹(みずの・よしき)
1982年生まれ、神奈川県出身。一橋大学社会学部卒業。2006年、高校時代に結成した「いきものがかり」でメジャーデビュー。現在は個人レーベル「HIROBA」でも活動中。

(文/濱田ももこ)

※AERAムック『国公立大学by AERA 2021』より抜粋