しかし有馬記念でのシンボリクリスエスは強かった。ハイペースで流れたレースを最後の直線で満を持して先頭に立つと、後続との差は開く一方。最終的には2着リンカーンに9馬身差の快勝、しかもこれだけの着差にもかかわらず勝ちタイムは2分30秒5のレコードタイムという歴史的な圧勝だった。

 ここで取り上げたレース以外にも、テンポイントがトウショウボーイ、グリーングラスとの「TTG対決」を制した第22回(1977年)や、オグリキャップが復活を遂げた第35回(1990年)、ダイユウサクが大本命メジロマックイーンを差し切って観客を唖然とさせた第36回(1991年)、トウカイテイオーが1年ぶりの勝利を手にした第38回(1993年)、ハーツクライが無敗のディープインパクトに土をつけた第50回(2005年)など、思い出深い有馬記念はファンの数だけ存在することだろう。今年もまた、記憶に残る有馬記念になることを願いつつ最後のG1ファンファーレを聞きたいと思う。(文・杉山貴宏)