「食事も子どもをみながらだと、満足に食べれないから、私が食べている間に抱っこしてほしいんだけど、そのことに気づかない。何で気づかないんだろうって。自分事にできないんだろうね、だから妻はイライラする。だから下手に一日中いられてもなあ」

 女性は、子どもが1人目のときの家事は、仕事が終わって帰宅してから夫が手伝うのでも十分間に合う量だと感じており、新設の制度に関しては「休み」か「時短勤務」を選べるといいという意見だ。

「友人の話になりますが、夫は何時間もかけてやたら凝った料理を作り、妻がキレていました。何時間もかけてつくる料理はいらないのよね。そんな時間あるなら、2時間子ども抱っこしといてくれという……時短勤務ならさすがに何時間も料理しないでしょ」

 また、2人目、3人目となると、勝手が違ってくるからでもある。

「子どもが2人、3人となると、夫がいたほうが物理的に助かる場面は多いと思う。上の子の幼稚園や保育園の送迎、スーパーへの買い出しとか。特に産後すぐは、赤ちゃんから目が離せないし、母親の身体もまだ回復途上だから、外出しにくいからね」

 小学1年の子どもを育てる女性は、「夫は基本的に役にたたない」とばっさり。それでも「いないよりはマシ」と話す。自分の親がいつでも手伝いに来れるとは限らないからだ。

「産後って出産の際に骨盤が開いているので、ビックリするくらい歩けないの。2週間後くらいで近所のスーパーに行ったときに驚いた。妊娠と出産は病気じゃないといわれるけど、体がしんどいのは同じなんだよ。自分が熱を出しても、おむつ変えやミルクや母乳あげないといけないからしんどくて。誰かいてほしい。役立たずの夫でもマシかな」

 誰とも話さない日々もきつかったそうだ。

「いわば、慢性睡眠不足での引きこもり状態。手伝いにきていた母親が帰ったあと、子どもをあやすのがつらかった。なぜか、赤ちゃんって夕方の黄昏時に泣くんです。夕焼雲を眺めながら、ああ、今日も誰とも話さなかったな、と思ったりして。毎日夕方が来るのが憂鬱でした。いま思うと、産後うつだったのかな」

 だから、役立たずだとしても話し相手としているだけでもいいのだという。さらに、この女性いわく、長い目でみれば、新制度を「夫の教育期間」とみなして、力不足でも夫に育児に参加してもらった方が、のちのち妻は楽になるそうだ。
 
 こうした考えになったのは、このコロナ禍で夫に変化がみられたことも大きい。

「夫が朝ごはん係になりました。はじめはみそ汁の具が生で殺意を覚えましたが。でもいまではみそ汁を沸騰させなくなりました」

 子育て以上に、夫育てには忍耐がいるとしながらも、こう話す。

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