利用者に、希望から少し外れるくらいなら許せる、という潜在的意識があっても、条件検索では反映できない。その弱みを、AIがフォローした形だ。

 その後、お見合いを申し込んで了解をもらえる確率は男女平均で29%に上昇。AIがお薦めした申し込みに限れば40%近いという。意外な効果もあった。

「女性のお見合いの申込件数がAI導入前は男性の2割ほどにとどまっていましたが、導入後は飛躍的に増えました。『AIが選んだ相手だから気楽に申し込めた』との声が多く、失敗して傷つきたくないという女性の心を楽にしてくれたようです」(同)

 肝心の成婚者数も、AI導入前の6年半で455組だったが、現在までに1300組に達した。導入後の5年半で845組以上が成婚に至ったということになる。

「カップルにはどんな経緯で結婚に至ったかの細かな報告は求めていないので、何組がAIで結ばれたのかは説明できませんが、成婚者数を見れば効果は明らかだと考えています。AIも新たな出会いの形の一つとして、捉えていただけたらと思います」(同)

 導入する自治体が続くAI婚活だが、その形式はさまざまだ。埼玉県では18年に出会いサポートセンターを設立しAI婚活を導入し、条件検索に加えて、価値観について122の質問を取り入れている。AIがその価値観を解析して、条件とは少し外れる相手をおすすめしてくることがあるという。愛媛県と同様に、紹介の幅に柔軟さを持たせた形だ。成婚に至った69組中33組が、AIによる紹介だという。

 政府はこうした自治体に、必要経費の3分の2を補助する方針。内閣府が来年度予算の概算要求に20億円を計上している。

 果たして少子化、過疎化を打開する一手となるか。

(AERAdot.編集部)