とはいえ、文系に進んだ生徒の中にも芸術分野の道を考えている生徒が含まれているとか。杉野先生はこう言い添える。

「近年の傾向としては、たとえば早稲田や一橋などの難関大と、音大や美大を掛け持ちして受験するような生徒もいます」

 同校は高1以下の通常カリキュラムの中にもさまざまな芸術教育を組み込んでいて、生徒たちがさまざまな分野に興味関心を抱けるようにしているという。

 それだけではない。同校では芸術分野を中心にした課外授業講座を用意している。「ピアノ」「声楽」「ヴァイオリン」「フルート」「トランペット」「クラリネット」「ソルフェージュ」「中学美術」「高1~3造形」「華道(草月流)」「茶道(裏千家)」「筝曲(生田流)」「中国語会話」「着付」「日本舞踊(坂東流)」「バレエ」「英会話」「英語外部試験対策」の18分野。この課外授業、授業料は別途必要だが、かなり格安である。加えて、その道の一流講師陣から直接指導を受けられるという、何ともぜいたくな環境が用意されている。

 生徒指導部副部長であり音楽科教諭の山田成香先生は言う。

「課外授業は音楽系の講座だけでも約140人の生徒たちが受講しています」

 杉野先生が付け加える。

「美術系の講座も人気がありますし、茶道には100人以上が集まります。生徒たちは、これらの課外授業に、部活の合間に取り組む『習い事』のような感覚で参加しています」

 山田先生は「中学受験で私学を選んだからこそ、課外授業には意味がある」と語る。

「中学受験の勉強のために、それまで習っていた音楽や美術の習い事を中断した生徒は少なくありません。実にもったいないことだと思います。さらに、私学である本校には時間をかけて遠方から通学してくる生徒もいる。家に帰ってから習い事に行くのが難しい生徒も、学校の中にこのような講座があると、習い事を続けられますよね」

 これらの講座の醍醐味を堪能できる施設や設備も整えている。そのひとつひとつを見学させてもらったが、どれも本格的な造りである。たとえば、美術科の施設ではアトリエのみならず、陶芸用の窯まで用意されている。

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