ここまでは過去に実績を残してきた選手たちだが、期待の若手のまま開花せずに正念場を迎えている選手も存在している。その代表例が2015年ドラフト1位のオコエ瑠偉(楽天)になるだろう。プロ入り一年目にいきなり開幕一軍を勝ち取るという上々のスタートを切ったものの、その後はなかなか殻を破れない日々が続き、今年はプロ入り後初の一軍出場なしとなっている。

 潜在能力の高さは誰もが認めるところだが、故障が多く、またオフの過ごし方にも度々苦言を呈されるなどプレー以外の部分で注目を浴びてしまっているのが現状だ。チームはこのオフ、ドラフト1位で入団した近藤弘樹をわずか3年で戦力外としており、オコエもこの状態が続くようだと見切りをつけられることも十分に考えられる。そうならないためにもキャンプ、オープン戦から必死のアピールが必要になるだろう。

 他にも苦しい立場の選手は少なくないが、今年はプロ入り11年目の堂林翔太(広島)が8年ぶりに規定打席に到達するなど見事な復活を見せている。今回紹介した選手も余力は感じられるだけに、周囲の予想を覆すようなプレーぶりを見せてくれることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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