――エチケットとして習慣化すると、今度はマンネリ化の可能性もあると思います。防ぐ手だてはありますか。

マンネリ化は、男性が作り出していることが多い印象です。男性はルーティーンを作って、それに沿って生きていたいという傾向にあります。毎日同じ時間の通勤電車を待ったり、駅のホームに立つ位置も同じだったり。男性はそれを嫌だとは思いませんが、女性はルーティーンどおりではないほうが、人生を楽しいと思いやすい傾向にあります。そこは生物学的なオスとメスの違いかもしれません。やはり相手の心理を知らないといけません。でないと、性行為に限らず、気づけばいろんなことがマンネリ化してしまいかねません。

休日に二人でいつもと違う場所に出かけてみるとか、セックスも家ばかりでなくたまにはラブホテルに行ってみるとか。男性はいつも同じようにしたほうが楽かもしれませんが、楽な方向に進むと女性は嫌がることが多い。男の目線だけで、女性を満足させたと思ってはいけません。コロナを機に「仲良くなった」と言っている人の中にも、実際は独りよがりの解釈で、ひどいレベルの夫婦がいっぱいいるんじゃないかと危惧しています。話す時間が増えただけで、夫婦関係が良くなったと言うのは早計です。

――現にセックスレスに陥っていない夫婦でも、「これは黄色信号だ」という指標はありますか?

子どもがいる家庭の場合、夫婦間の会話の内容が、子どものことばかりになってしまうと要注意です。子どもに対してはお父さん・お母さんの立場ですが、夫婦は一組の男女として恋をして結婚したわけですから、いつまでも男と女の関係性であるべきだと思います。女性は恋人から嫁になって、母親になるにつれて優先順位が変わっていくことが多いです。対して男性は、結婚して子どもが生まれても、優先順位があまり変わりません。

今までお金のことを重視しなかった人でも、「子どもを育てるためにはお金がなくては生活できない」と気付き、価値観が一変する人もいる。でも、子どもが思春期くらいになるとまた変わるかもしれない。パートナーに対して、ずっと同じだと思い込んでいる男性が多いのかもしれませんが、実際はそうではないのです。

――セックスレス状態の夫婦にアドバイスをお願いします。

まずは「姿勢」をみせることが重要です。セックスをしないで翌日にギクシャクするよりは、しようと持ち掛けてみて、一生懸命向き合おうとする姿勢をみせる。好きだから毎日性行為をするのが理想ですが、そこに進めないのなら、しないよりは、義務だと思って頑張る人のほうがまだいいと思います。「セックスレスの状態が続いたら逃げられてしまう」という危機感は、常に意識してほしいと思います。ぜひ、私のYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/channel/UCnDrPM2SHydgLherUbLTRxQ)を見てハングリー精神を養ってもらいたいです。
(構成=AERA dot.編集部・飯塚大和)