これまでルーキーイヤーがキャリアハイとなってしまっている阪神・高山俊 (c)朝日新聞社
これまでルーキーイヤーがキャリアハイとなってしまっている阪神・高山俊 (c)朝日新聞社

 すっかりストーブリーグに突入したプロ野球だが、今月17日には今年活躍した選手を表彰する『NPB AWARDS』が行われる。この場で大きな注目を集めるのが新人王(最優秀新人選手)の発表で、今年はともにドラフト1位で入団した森下暢仁(広島)と小深田大翔(楽天)の受賞が有力視されている。

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 プロ野球選手人生で一度しかない栄誉ある賞であることは間違いないが、中にはその年の成績がキャリアハイとなり2年目以降に苦しむケースも少なくない。そこで今回は過去5年間に新人王に輝いた選手がそのまま主力に定着しているのか、改めて検証してみたいと思う。

 まずセ・リーグの過去5年間の新人王、受賞した年の成績、今年までの通算成績を並べてみると以下のようになった。

■2015年:山崎康晃(DeNA)

該当年成績:58試合 2勝4敗37セーブ7ホールド 防御率1.92
通算成績:343試合 13勝20敗169セーブ44ホールド 防御率2.72

■2016年:高山俊(阪神

該当年成績:134試合 136安打8本塁打65打点5盗塁 打率.275
通算成績:429試合 320安打20本塁打135打点21盗塁 打率.253

■2017年:京田陽太(中日

該当年成績:141試合 149安打4本塁打36打点23盗塁 打率.264
通算成績:544試合 520安打16本塁打149打点68盗塁 打率.249

■2018年:東克樹(DeNA)

該当年成績:24試合 11勝5敗0セーブ0ホールド 防御率2.45
通算成績:31試合 15勝7敗0セーブ0ホールド 防御率2.71

■2019年:村上宗隆ヤクルト

該当年成績:143試合 118安打36本塁打96打点5盗塁 打率.231
通算成績:269試合 249安打65本塁打184打点16盗塁 打率.263

 そのまま主力へ定着した選手は山崎、京田、村上の三人だ。山崎は昨年史上最年少で150セーブを達成。オフには侍ジャパンの守護神としてプレミア12優勝にも大きく貢献している。今年大きく成績を落としているが、5年続けて結果を残したのは立派と言えるだろう。京田も4年連続で規定打席をクリアしているが、こちらは山崎に比べると少し物足りない印象を受ける。安打数、打率、盗塁数など主要な成績は1年目がベストで徐々に成績を落としており、通算打率も.250を下回っている。ここから持ち直して浮上できるか、根尾昂などの若手にポジションを譲るのか、来年が今後を占ううえでも重要なシーズンとなりそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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