この界面活性剤は水の中では、外側に親水性部分、内側に親油性部分を占めるように球状に配列(ミセルという)、その空洞ポケットに油を取り込みます。これが水と油が混ざり合うということで、洗濯の原理です。余談になりますが、ドレッシングには均一のものと2層のものがあり、マヨネーズは均一です。その理由は、卵黄に含まれる「レシチン」が界面活性剤の役割を果たすからです。

■ 硬水が洗濯に適さない理由とせっけんカスの正体

 せっけん(RCOONa)は、古くから知られている界面活性剤の代表で、すでに数千年前に油脂と木灰を混ぜて煮ることにより製造されていました。現在でも、エコと称して、家庭から出るてんぷら油からせっけんを作る地域の活動があちこちで見られます。せっけん・RCOONaは、高級脂肪酸(RCOOH、炭素数が多いと言う意味で、値段が高いわけではありません)のナトリウム塩です。炭素が多くつながっている部分が親油性で、酸部分(正確にはカルボン酸のナトリウム塩)が親水性となっています。

 硬水は洗濯には適さない水です。その理由は、せっけんが水の中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンと反応して水に溶けない沈殿物を作ってしまうからです。これがせっけんカス(金属せっけんともいう)で、せっけんの無駄遣いにつながります。つまり、泡立ちが悪くなり、せっかくの洗浄力が低下して、より多くのせっけんが必要になってしまいます。

 したがって、水を加熱してより軟水にした方が洗濯の効率が上がることになります。これが「洗濯はふろの残り湯を使え」と言われるゆえんです。
    
 このせっけんカスは、洗いあがった洗濯物のあちこちにこびりつき、これが酸化されて黄ばみとして残ってしまうこともあります。さらに、発生したせっけんカスの及ぼす影響は洗濯物にとどまらず、洗濯機の洗濯層や配水管に、こびりつくこともあります。せっけんカスは水に溶けないため、沈着を放置していると洗濯機の故障や配水管の詰まりにつながるので、定期的に掃除する必要があります。

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