これが変更され2020年からは、全てのひとり親家庭について控除対象となりました。控除額は35万円です。親の性別は問いませんが、以下の条件があります。

・生計を一にする子が総所得金額48万円以下
・本人の合計所得金額が500万円以下

 なお、事実婚または内縁関係となる場合は適用外です。

■青色申告の自営業者や個人事業主は「e-Tax」での申告で減税に

 確定申告を毎年、青色申告で行っている事業者、個人事業主ならご存じだとは思いますが、うっかり忘れないために最後に書いておきましょう。
 
 2020年度の確定申告では、先に述べたように基礎控除が10万円アップになっています。これはもちろん個人事業主などでも同様です。ただ、今まで手書きの申告書を税務署に持って行って提出していた場合、来年の申告も同様に行うと青色申告特別控除が65万円から55万円に引き下げられます。ここでも増減分が相殺されるのです。

 ただネット経由で申告を行う国税庁の「e-Tax」を利用すると青色申告特別控除が65万円のままで、控除額10万円分の減税になります。
 
 e-TaxはマイナンバーカードとICカードリーダーを使う方法と、IDとパスワードで申告を行う方法がありますが、ID・パスワード方式の場合は事前に税務署での申請が必要なので注意してください。

 次回も引き続き生活を安定させるための社会保障の基礎知識について解説したいと思います。

(構成・橋本明)

※本連載シリーズは、手続き内容をわかりやすくお伝えするため、ポイントを絞り編集しています。一部説明を簡略化している点についてはご了承ください。また、2020年12月1日時点での内容となっています。

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小泉正典

小泉正典

小泉正典(こいずみ・まさのり)/特定社会保険労務士。1971年、栃木県生まれ。明星大学人文学部経済学科卒。社会保険労務士小泉事務所代表、一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。専門分野は、労働・社会保険制度全般および社員がイキイキと働きやすい職場づくりコンサルティング。『社会保障一覧表』(アントレックス)シリーズは累計55万部のベストセラー

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