■教官になりきって怒る吉瀬美智子

 同じように、子育てにおいてハグを大切にしているというのが女優の吉瀬美智子(45)。昨年5月に開催された「第12回 ベストマザー賞2019」の授賞式(芸能部門で受賞)で、吉瀬流の子育て法を聞かれた際、「朝、起きてきたら『おはよう』と言って必ずハグをする」と回答。日々のけんかなどがあったとしても、「それで彼女もホッとできる。ないと愛情不足を感じちゃうかも」と明かした。

「吉瀬さんは役に入っているときは叱り方もついその役柄風になってしまうとトーク番組で話していました。ある日、帰宅すると娘さんたちが塩を違う缶に全部入れて、振って遊んでいたそうで、『もう正座です、そのときは』と明かし、警察学校の教官役をやっていた時期で、怒り方も正座をさせて怒鳴る感じになってしまったそうです。共演者の久本雅美さんに『スパルタだ』と笑われていました」(同)

 一方、永作博美(50)も自身を「厳しい母」だと公言している女優のひとり。現在公開中の映画「朝が来る」で、特別養子縁組の制度を使い、家庭に子どもを迎えるという難しい役どころを好演している永作。実生活では2人のママである彼女だが、家でどんな母親なのかをインタビューで聞かれると「うちではずっと怒ってます(笑)」と返していた。やるべきことをやらないときや、同じことを3回以上いわなければならないようだと怒ることがあるという。それぞれにやってもらわないと「この家族というチームが進まないので」と、決して感情的に怒っているのではなく、冷静に家族を見ている姿がうかがい知れた。(「ヨミドクター」10月30日配信)

 芸能人の間では「しっかり叱り、たくさん愛情を与える」という子育て法が多いようだが、最近の子育て事情に関して、保育士の資格を持ち、子育て事情に詳しいライターの加藤朋美氏は次のように分析する。

「子どもは叱られずに何でも許されると自己中心的でわがままになりますし、ガミガミ叱られすぎると、叱られることに慣れてしまいます。数年前は“叱らない子育て”が話題でしたが、最近の傾向としては『しっかり甘えさせてしっかり叱る』だと感じています。理由としては、2020年教育改革にも含まれている“非認知能力”や“考える力”も関係していると考えられます。教育もしつけも、受け身型から自主的に考えられる方向にシフトしつつあります。『たっぷり甘えさせながら、家族の一員としてお家のルールをきちんと守る』という親子関係を確立することで、子どもの自己肯定感を育み、イヤイヤ期に親が振り回されることが回避できるとも言われています。とはいえ、日々の生活の中ではイライラして小言を言いたくなることも多いと思います。ポイントは親の都合や一時の感情で叱らず、家族みんなでお家ルールを共有することではないでしょうか」

 子育てする姿すら想像しがたい女優たちだが、世の子育てママと同じで叱るときは叱る子育てが垣間見えてきた。(高梨歩)

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高梨歩

高梨歩

女性ファッション誌の編集者など経てフリーライターに。芸能やファッション、海外セレブ、育児関連まで、幅広いジャンルを手掛ける。活動歴は約20年。相撲フリークの一面も。

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