まずコオロギ系のせんべいとゴーフレット。パウダーになっているからか、「これがコオロギだ!」という明確な味の主張は感じなかった。強いていうなら微妙な雑味がそれなのか。知らずに食べればコオロギ入りとはまず気づかないだろう。


 
 続いてのオオスズメバチは、そのままの姿。ほかのスナックと一緒に皿に盛りつけると、蜂がたかっているように見えてしまうのが残念なところだ。一口サイズだがあえて二口でいただく。複雑な味が舌を刺激し、脳裏に野山の風景が浮かんできたが、控えめに言っておいしくはない。内臓までパサパサに乾燥しているのとあっさり塩味なのがいけないのか、イナゴの佃煮のようなご飯のお供という感じでは断じてない。昆虫の加工品を食べつくした上級者が、原点回帰で戻ってくるような素材の持つすごみを感じた。
 
 変わり種である蚕のお茶もいれてみた。桑の葉だけを食べた蚕のうんちが原料だ。強烈なインパクトがあるものの、味わいはとても上品。さすがシルクをつくる“お蚕様”の面目躍如といったところか。体によいお茶だと勧められたら、ありがたく飲み干すだろう。
 
 バラエティー豊かすぎる昆虫食だが、注意することもある。コオロギ系スナックには「エビやカニに似た成分を含みます」との記載が。甲殻類アレルギーがある人には、伏せて食べさせないように。また、買うのは割高だからコオロギやセミは自分で捕る……という狩猟派は、煮沸消毒を忘れないこと。自己責任とはいえ食中毒の可能性があるからだ。まずは今回紹介したような加工品を試すのがおすすめだ。
 
 昆虫食が人類を救う……とはまだまだ大げさだが、この昆虫食自販機が「虫を食べること」について考えるきっかけとしては役立つことだろう。(取材・文・撮影/アエラムック編集部・杉澤誠記)

自販機所在地/東京都渋谷区本町4-43-5