「筋肉を強化することは、たとえればからだの中に股関節を支えるコルセットを作るようなものです。それにより股関節にかかる負荷が減るとともに、血流も改善でき、痛みなどの症状の緩和が期待できます。無理をしない程度の筋力トレーニングを積極的におこないましょう」(山本医師)

 痛みが強くつらい場合には、NSAIDsを始めとする鎮痛薬による薬物治療が併用される。

 これらの保存療法で効果がない場合には、手術が検討されることになる。

「関節唇の損傷や、関節軟骨のかけらなどが、痛みの原因となることもあります。その場合、小さな穴を数カ所開けて、関節鏡と手術器具を入れて傷んだ部分を取り除く、関節鏡手術をすることもあります」(渡會医師)

 しかし、症状が再発して、関節鏡手術では問題を解決できないことも多いという。股関節の変形が進めば、傷んだ関節を人工関節に取り換える「人工股関節置換術」が必要になる。50代までの若い人で、まだ関節軟骨の障害が軽い場合には、自分の骨を残したまま、骨を切って股関節の形を変えることにより症状を改善する「骨切り術」が勧められることもある。

 変形性股関節症は放っておくと進行してしまう。治療のタイミングを逃さないように、痛みや違和感を感じたら早めに整形外科を受診しよう。

 変形性股関節症の手術については、週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』で、全国の病院に対して独自に調査をおこない、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。ランキングの一部は特設サイトで無料公開しているので参考にしてほしい。「手術数でわかるいい病院」
https://dot.asahi.com/goodhospital/
(文・坂井由美)

週刊朝日  2020年12月4日号