●4位 水に挿した花

 例の事件の後、『Dear Friend』でせっかく無理矢理イメチェンを図ったのに、たった4カ月でこれかい! とツッコミを入れたくなるような、超暗い曲。でもそんな、自分の業(ごう)みたいなものに抗えない明菜が愛しすぎる……。楽曲の世界観も、明菜の消え入りそうなボーカルも、アタシ的にはかなりツボ。

●3位 ミ・アモーレ〔Meu amor é……〕

 今回のBEST10、かなり偏りがあるので、「超メジャー曲も入れておかないと」と思い、『DESIRE-情熱-』と迷った末に、こちらを入れてみたわ。アタシ的には、第27回レコード大賞を獲った直後の紅白歌合戦でこの曲を歌う明菜の、とても20歳とは思えない貫録たっぷりの女王感がとても好き。

●2位 帰省

「自分の幸せを奪った女に、からだを張って復讐しようとする(逆恨みだけど)」女を演じる明菜があまりにも素晴らしかった、ドラマ『冷たい月』の主題歌。音域の広い難曲なんだけど、サビなんてまさに「絶唱」という感じで、初めて聴いたときには鳥肌が立ったわ。全体的に「凍てつくような寒さ」が漂っている、これからの季節に必ず聴きたくなる一曲。

●1位 LIAR

 おそらく明菜がもっとも恋に悩んでいたころにリリースされた、不誠実な男への思いを歌った曲。詞の内容があまりにも当時の心境にハマりすぎていたせいか、つらそうに歌っているときもあったし、リリースから3カ月後に例の事件を起こしてしまったわけだけど……。そんなところにドラマを感じずにはいられなくて、「明菜のベスト曲」をたずねられると、アタシはついこの曲を挙げてしまうの。

 というわけで、とりあえず10曲選んでみたけど、『スローモーション』も『北ウィング』も『難破船』も『I MISSED "THE SHOCK"』も入れられなかった……。あらためて、明菜のあまりの名曲の多さにびっくりしたわ。どうか明菜が、無理のないペースで、でもまた活動を再開してくれますように!

■エスムラルダ/Esmralda/1972年3月13日生まれ 東京都出身/1994年より「情念系お笑いショー」を得意とするドラァグクイーンとして、各種イベントやメディア、講演会等に出演。2002年東京都の「ヘブン・アーティスト」ライセンスを取得。ライター・脚本家としても活動しており、2012年本名で応募した作品が「第12回 テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞」の優秀賞を受賞。2017年には東宝ミュージカル『プリシラ』(宮本亜門演出)の翻訳を担当。近年、舞台への出演が増え、自作自演の一人芝居ミュージカルなども行っている。近著にビジネス書『ロジカルメモ』(本名名義、アスコム刊)。